小話
2012/02/22 07:10

猫の可愛い所。

それは、寝ている時に布団の中に潜り込んで来て甘えてくれる所。

…あくまでも俺の考えだけど。


「ん…」

文次郎との行為後。
俺はそのまま寝てしまって。
で、文次郎は隣にいた、
はずだったけど。
いつの間にかいなくなっていて。

「ぁ…れ?もんじ…?文次郎!?」
「朝っぱらから煩い奴だな」

湯でも浴びてきたのだろう。
襖の向こうから現れたのは、濡れ髪の文次郎だった。

「…色っぽい」
「バカタレ。それよりさっさと起きろ」
「えー今日休みだろ」
「休みでも駄目だ、さっさと起きる」

文次郎は目の前。
湯上がりの何とも言えない香りが……くそ!
俺は目の前の文次郎を布団の中に引き込んだ。

「どあッ!!…っ、危ないだろ!」
「へへッ」

先手必勝、なんてな。
そう言って俺が笑うと、文次郎は怒りながらも布団に入ってきてくれて。
ギュッと抱いたら、抱きしめ返してくれて。
…これは…まさか…

「…甘えてくれるのか?」

文次郎は俺の胸に顔を埋めて、なにやらボソッっと言った。

「…っ!!文次郎〜!」
「み、耳元で叫ぶな!」

しばらく戯れてから、そのまま俺達は再び眠りにつく。



猫の可愛い所。

それは、寝ている時に布団の中に潜り込んで来て甘えてくれる所。

どうやらその考えは俺だけじゃなさそうだ。



『今日だけは、猫になってやる』