動くな俺はゲイだ





ガラガラガラ!!!
「動くな!!!俺はゲイだ!!」

2校時目の10分休み。突然2ーCの扉は開け放たれ、放たれた一言は、意味不明なものだった。

動くな俺はゲイだ!

そこにいたのは1人の女子、遥香。手を銃のようにしていたのだが、突然真顔になり、普通の体制に戻ると、クラスには入らず、扉を閉めた。この間、2ーCの人々は呆然と成り行きを見守っていた。そして正気に戻る間も無く。

ガラガラガラ!!!!
「ふうううううう!!動くなぁぁぁ!
俺はゲイだぁぁぁぁぁ!!!」
ビシャン!
「あいて!」

突然の第二弾。しかしこちらは、勢いよく扉を開けすぎて跳ね返ってきた扉に攻撃されていた。2人分の笑い声が2ーCと廊下で響きわたる。言わずもがな、笑っているのは先ほどの遥香と、2人目の女子、かなだ。2人が爆笑している中、呆然とする2ーC。ついでに廊下を歩いていた生徒数人。

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴ると先ほど爆笑していた2人は、何事もなかったようにその場から離れた。いや、2人とも涙目ではあった、笑い過ぎで。そのまま2ーCでは授業が行われたのだが、最初の数分は皆呆然としており、教師を困らせていた。



その後、何事もなく3校時目、4校時目が過ぎ、昼休み。こちらも1年と同じく、同じ同好会、2年生は6人でお昼を食べている。先程の遥香とかなもこの同好会に所属している。

「んで、2校時目の休み時間のやつはなんだったんだよ…」

2ーCの男子、唯都がめんどくさそうに遥香とかなに聞いた。遥香とかなはそれはそれは上機嫌で聞いてくださいオーラを出していたため、唯都は仕方なく話題を振ってやったのだ。じゃないとみんな昼飯食いっぱぐれる。いただきますもしたのに遥香もかなもご飯を食べようとしないため、他の子らもそれに習ってご飯に手をつけなかったからだ。

「よくぞ聞いてくれました!!」
「いやぁね!そろそろ新学期にも慣れたし、楽しいことないかなーて、くろちゃんねるで安価したんだ〜」
「んで、遥香がその安価見せてくれて」
「楽しそうだからかなも混ぜてやろっか!ってなったから」
「突撃したわけ〜!!」

キャッキャッと楽しげに顔を見合わせながら話す遥香とかな。全力で肩の力を落とす唯都。なぜ先にそれを教えなかったと顔の表情を変えず、目で訴える夏樹。わけがわからない詩織と響。

「ちょっとちょっと!私らわかんないんだけどー!」

と、説明する気のない4人に痺れを切らした響が、詩織に抱きつきながら頬を膨らまして尋ねる。突然抱きつかれた詩織はアワアワしてそれどころではない様子だった。

「あぁ、えと…
遥香がな、今日の2校時目の休み時間に突然俺らのクラスに来たんだよ」
「動くな!俺はゲイだっ!てね!!wwwwwwww」

夏樹の説明に補足しながらもゲラゲラと笑うかな。女子らしさを彼女に求めてはいけない。閑話休題。

「3校時目の授業が最初なかなかはじまらなかった。いや、始まらなくてもよかったけど」
「唯都、ひでぇwwwwwwww」

ひでぇと言いながらも爆笑の響。響は響で楽しいことが大好きだから、仕方ない。

「あ、もしかしてそれ、廊下からも見える位置でやってた?」

詩織がやっと響とかなの爆笑がおさまった頃に、首をかしげながら聞く。
「うん。かなが勢い良くドア開けすぎてドアに逆襲されてたの爆笑してた」
「ちょ、ひどwwwwwwwww
んでもまぁ、ドアの近くでやってたから廊下の人らも見てたかもね〜」
キリッとしながら遥香が、またもやひどいなどと言いながら爆笑のかなが詩織の質問に答える。
「なんかあったのか?」
「うん。私のクラスの人、何人か授業遅れてきたの。前の授業、移動教室だったから、帰って来る途中で見てて、遅れたのかなって」
「廊下の人まで被害にあってるwwwwwwwww」
唯都の質問に詩織が納得顔。それを見てまた笑い始めるかな。こいつは笑いすぎだと思われる。かなも笑い終わり、各自落ち着いたので、さて、お昼を食べようかとした時。

「そういえば、俺バイ」

何の事は無いと無表情で1人先にご飯を食べながら言う夏樹。
突然のカミングアウトに他5人は固まる。しかし、それに気づかず黙々とご飯を食べる夏樹。他5人の心の声はシンクロした。

「(今ここで言うか?!)」

2年生には問題児が集中しているようだった。


[ 6/7 ]

[*prev] [next#]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -