第一章〜空の色〜  


第1話−独房−

夜になった。



〔バチバチバチ!〕


「うっ!!」

昼間、
俺は人の体に戻って、妖力は押さえられている。
俺の身長よりも長く、黒いストレートの髪に、黒い、少しつり上がっている目、Cカップの胸。
黒い下地に紫のアゲハチョウが飛んでいる着物に、白い無地の帯を今日は着ている。
足は裸足。


これが俺の人の姿。



が、しかし、夜になって、体が妖怪になる。


ストレートだった俺の髪が、ウェーブがかる。
これが俺の妖怪の姿。


妖力が元に戻ると、この元々が人の身には、持て余る妖力は、体から溢れ流れ、俺の意思に関係なく、部屋全体に妖力が触れる。
すると、俺の左足首に繋がった足枷から、高圧の電流が流れ出て、呻き声が出る。
十年間堪えず同じことの繰り返しだが、この痛みだけは慣れることがない。




俺の居るところは、部屋のすべてが白い場所。
まあ、抵抗した妖怪を入れておくための独房だしな。
部屋にトイレや風呂、ベット、机がある。
風呂とトイレの位置は近く、そこだけ白いカーテンがひけるようになっていて見えないようになっていた。



洗濯物などは、一日一日陰陽師が取りに来たので渡すと、次の日には帰って来た。
監視カメラはあるが、さすがにトイレや風呂まではない。
だからってそこから逃げれるわけでもない。
この独房を監視、結界で覆っているのは陰陽師や、陰陽師の術。
変なことをしようものなら、部屋を覆っている結界が揺れて、すぐに気付かれ、高圧の電流を流される。
さっきみたいに。



俺の場合は勝手になっちゃうんだが関係ないらしい。
厳しいもんだ。


俺はもう逃げるのは諦めた。


ていうか、最初から逃げようなんて思っちゃいない。
無駄な事したって、疲れるだけだし。


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