それから数日たった。
オレはその間に術をかけられた。
無闇に(例え自分の意思ではなくとも)人の心を読んでしまわないよう、
対象者に触れていなければ妖力-チカラ-が使えないようにされた。
もちろん他の人なんかにかけられるのは嫌だから、
そんな通達が来たときにすぐに水戸部にやってもらった。



ついでにオレは新たに、というか思い出したことを水戸部に教え、
水戸部伝いに大坪さん他、陰陽師に教えた。
それは、オレが対象者の記憶も読めるということ。
無理矢理だったり、昼間の長時間だと疲れるし、必ず対象者に触れていなければならない。
実際オレはあまり使ったことがないため、ついこの間まで忘れていた。



そんなある日、水戸部の家に人が訪ねてきた。
これまたオレと同い年のようなメガネの男の子だった。


「よう!久しぶりだな水戸部。そいつか?噂で聞いたぜ」

「………コク(そうだよ)」


今オレは水戸部の肩の上にいる。だいたいそこがオレの定位置。
水戸部もおろそうとはしないし、重いとは思っていないみたいだが、
いくら猫の姿でもそれなりに重いと思うんだけどなぁ…。ととっ、話がそれた。


「はじめまして、俺は日向 順平。水戸部の友達だ」

「オレは小金井 潤紗」


いくら水戸部の友達っていわれてもまだ信用はできない。


「よろしく…あー、すまないが俺、君に頼みがあってきたんだ」


そう言って日向は苦笑しながら頭をかいている。
やっぱり…、なにかあると思ったら…。


「……。(大丈夫だよ。いろいろ事情があるんだ)」
「まだ信用はしてもらえないよな」


オレの気持ちがわかったのか
水戸部は説得してくるし日向はいまだ苦笑い。


「…話くらいなら聞いてもいい」

「ありがとう!」

「……。パァァ(よかった、俺からもありがとう)」


オレの返事に
日向は満面の笑みでお礼を言うし水戸部も一瞬で笑顔になった。


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