第2話−研究所−



オレには婆ちゃんしかいなかった。
物心ついた頃から婆ちゃんと二人っきり、山の中で暮らしてた。



婆ちゃんはオレの母ちゃんの母ちゃんらしい。
オレの両親はオレが生まれた瞬間オレを捨てたそうだ。
それどころか危うくオレは両親の手によって殺されそうだったらしい。
レントゲン写真?に妖怪の特徴になるものは写らないことはしばしばある。
オレの場合もそうだったようだ。
そして、オレを取り上げた人は悲鳴まであげ、医者は殺すことをすすめたそうだ。
それを婆ちゃんが止め、元々山の中に住んでいたため、そこでオレを育てることにしたらしい。



ともあれオレは両親に殺されかけた。
理由は簡単。
オレが猫娘だったから。



昔っから言われている。
猫系の妖怪は全ての、機械の心すら、読めるのだと。
だがそれは少し間違っている。
だってオレは、植物や機械の心なんて読めない。
読めるのは動物と人だけ。
それにだって範囲がある。



度々山から下りて、婆ちゃんと二人、金で物を買った。
山から下りて、街の中に出るたび言われた。


【猫の妖怪だ!
(妖怪だっ!こっちに来るんじゃない!!)】


人それぞれ言い方は多少違ったけど、大体こんな感じだった。
それでもひねくれずにやってこれたのは、婆ちゃんと、森の動物達のおかげだった。



森にいる動物達、他の所にいる動物達も、大体の動物達は人の言葉を理解していた。
すぐにオレは友達になった。
だから寂しくはなかった。



オレが12歳の年のそんなある日、婆ちゃんは死んでしまった。
動物達は友達だった。
それでも、たった一人の人間の頼りになる人が、死んでしまった。
オレは三日三晩、何もせず、ボーとしていた。
動物達はみんなオレを心配してくれた。
その後すぐには立ち直れず、ダラダラと、食事も睡眠も取るが、抜け殻のように過ごし、
気持ちに整理がついた頃、オレは婆ちゃんを埋めに行き、山の下に下りる決意をした。



決意をしてから準備を素早く終わらせ、動物達を説得させ、婆ちゃんを埋めてから二日後に動物達に見送られながら山を下りた。



見た目では妖怪だとバレないようにした。
言動も注意することにした。



そんなこんなであんまりばれずに4年間は静かに過ごせた。
しかし街中には若干オレについてのだと思われる噂らしきものが流れていた。
だけどオレのことをはっきり見た人はいないみたいで今まで平和に暮らしてきた。
ある日街をあてもなく歩いていたら、後ろのほうから会話が聞こえてきた。


「それにしてもまためんどくさいなー。
今回の情報もまたガセだぜ〜!?
さっさと終わらせたいな〜
(うわっ、ホントちょー嫌だ。
何でよりによってこんな奴と!?
何考えてんのかわかんねーし、さっさと終わらせたいよ、ホント)」

「・・・コクリ
(すごくオーラが出てる。
嫌だよね、俺と組むの。さっさと終わらそう)」


振り返ると、
少し後ろのほうにデカイおじさんと、オレと同じ年くらいだけどそれより上そうな感じの子供のがいて、その人達の会話だとわかった。



聞いていた感想、ムッとした。
それがこれからオレが行動を起こす理由。
超ガキっぽいのは自覚してる。


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