side伊月
目が覚めて、ボーとする頭で周りを見渡して、
無意識にあの短い黒髪にメガネのあの人を探してキョロキョロする。


「お!目が覚めたか純麗」


馨実さんの声でハッとして、馨実さんのほうを向く。
馨実さんと柳良さんがこちらをほっとしたように見ていた。


「俺、どれくらい寝てました?」

「う〜ん…。ここには時計がないからなぁ。
私たちが心配するくらいかな?」


ふわふわと柳良さんは言うが心に刺さる。
馨実さんも柳良さんも意外と、いや意外じゃないか?毒舌だから…。


「まぁ起きてよかった。
潤紗達が何とかしてくれるっつうから待ってようぜ」

「なんとか?」

「いろいろ調べてくれるってさ〜」


それはありがたいけど迷惑なんじゃ…。思わず顔をしかめると。


「お前、あんま気にすんなよ。
あっちが勝手にやってくれるっていうんだから」


フンッという馨実さんが言うのを聞いて苦笑する。


「そうそう、甘えときなって〜」


柳良さんにまで言われ、ならいっかと思った俺はだいぶ現金だなと可笑しくなった。


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