伊月のだらりとしていた手が檻に伸びる。 〔バチバチバチバチバチ〕 伊月の手が檻に触れた瞬間、今までより比べられないくらいの電流が流れる。 それさえも気にせず檻を握り、もう片方の手も檻を握る。 とっさに檻を握っている伊月の手に手を伸ばした。 〔バチバチバチバチバチ〕 「くっ、ぁァ゛」 伊月の手に触れているせいか俺にも電流が流れてきた。 檻を握っている伊月の両手の上に自分の手を重ねる。 手を重ねると伊月がゆっくり顔を上げた。 その今までうつろだった伊月の瞳がぶれている。 俺が出した痛みによる声に反応して伊月の瞳が正気混じりにぶれている。 俺は電流の痛みにひどい顔をしながらも声を出した。 「伊月!俺は、お前に敵討ちをやめろなんか言わない。 俺も手伝う!お前は一人じゃないんだ!! ぜってぇー捨身になんかなんじゃねぇぞ!お前が死ぬのは許さない!絶対に!!」 わかったな!と俺は叫ぶ。 少しして電流が止まった。よく見ると伊月の姿も元に戻っている。 俺はゆっくりと重ねていた手を外し伊月を見る。 「うん、わかった。…ありがとう」 薄い笑みと共に聞こえてきた小さな声に驚いていたら、 ゆっくりと伊月は目をつぶりながら後ろに倒れた。 「伊月!?」 檻に勢いよく飛びつき伊月の様子を見ようとする。 起きない伊月に焦りが募る。 〔ポンッ〕 肩に何かあたり後ろを向くと小金井がいて、 肩に置かれたのは小金井の手だった。 |