目的の独房の正面に立つ。
伊月ちゃんは日向の記憶の中の姿よりずっと綺麗になっていた。
目の前に立たれた伊月ちゃんはキョトンとしてるし、日向は見惚れてんのか動かないし…。
はぁ…。今回オレがしっかりしなきゃなの?


「えと、伊月ちゃん…でいいかな?」

「う、うん…?」


もう!伊月ちゃんすんごい困ってるじゃん!
日向のバカ!


「たいした用事じゃないんだけどね?ちょっとこの人に会ったことない?」


いつまでも固まっている日向を隣に引っ張りオレは聞いた。


「?う〜ん…。どうだろ。たぶん無い、かな?」


隣からガラガラガラって何か壊れる音が聞こえた気がしたんだけど?!
かんっぺきに固まっちゃうし…。心の声すら聞こえないってどういうことさ…。
どんだけショックなの…。


「う〜ん、そっか…。でも確信はないんだよね?」

「え?あ、うん」

「じゃあちょろっとだけオレらに付き合ってくんない?」


そうしてオレは来る時にもらった独房のマスターキーを使い伊月ちゃんの檻を開ける。
伊月ちゃんと宮地さんはかなり驚いている。そりゃそうだろうな。


「今日中にはもどって来れるし、なにか痛い事とかするわけじゃないよ?」


そうしてオレは伊月ちゃんの檻の中に入った。



ありゃりゃ、人の姿になっちゃった。結構キツイね独房の中って。
伊月ちゃんがびっくりしてる。てか他の人もびっくりしてるよ。
ま、いいや!


「さ、行こうか」


伊月ちゃんに手を差し伸べてオレは言った。


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