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そうして夜。
当初の警戒はどこにいたというくらいオレは日向と仲良くなった。
話してみれば日向は兄貴肌で、困ってる人を放っておけない優しい奴ってわかった。



夕飯を食べ終えて、風呂にも入った。
記憶見終わるのに
どれくらいかかるかわからないから、あとは寝るだけっ!
というとこまで準備を終わらせた。
時間は午後9時12分。
さ〜て日向の記憶、見させてもらいましょうかっ!


「んじゃ、はじめようか!」


今いる場所は水戸部の家の広い客間。
そこに布団が三つ敷いてある。
右からオレ、水戸部、日向の布団だ。
終わった後すぐ寝れるようにここに準備したのだ。



日向は今、自分の布団の上に胡坐で座っている。
その真ん前にオレが立っている。隣で水戸部は日向と同様に胡坐で座っている。


「さて、日向。今からオレに見せたい記憶を頭の中に思い浮かべて…」


オレは言いながら目を閉じ、日向の頭に手を置く。
きっといまオレの周りにはオレの妖力が流れていることだろう。
そして日向にもきっと、まとわりつくようにオレの妖力が流れているだろう。



日向は俺に言われたとおりに目を閉じて記憶を探しはじめている。
日向も陰陽師だ。
水戸部は慣れているから俺の妖力を気にはしないが、日向はそんなことはない。
そんななかよく耐えていると思う。



たくさんの記憶が流れていく、車に乗って見る外の景色のように。
オレは日向が見せようとしているやつ以外に焦点を合わせないようにする。



かなり昔の記憶といっただけはある。
膨大な記憶が流れ去って行ったのにいまだお目当ての記憶に行きつかない。
だがそう感じるのはオレだけ。日向にしてみれば大した時間ではない。
オレは他人の記憶を見ようとしているからこそ感じるタイムラグだ。
それにしたって長い。どこまで行くのだろうか…。


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