「な、何事だ!?」


アンタが何事だ。
二回目のはずのおじさんのほうが取り乱すってどういうこと?!
呆れて出そうになったため息を飲み込む。


「はじめまして、猫娘の小金井 潤紗」

「はじめまして、大坪 泰介だ」


椅子に座っている男の人は大坪 泰介というらしい。



あのムカつくおじさんは用事があるらしく、部屋から出ていき、
入れ違いに声のでない子が部屋に入ってきた。


「ところで、何でオレ捕まえられなきゃいけなかったの?」


ふと、根本的な疑問が浮かんできた。


「地元の人間が言ってきたからだな」

「………。オレ、別に何にもしてないのになぁ…」

「………オロオロ(あっ、そうだよね、悲しいよね…)」


悲しくなって、うつむいた。
声のでない子がオレを心配してくれて、少し嬉しかった。


「一般人は得たいの知れないものが怖いからな」

「得たいの、知れないもの?」

「ああ。自分達と違うもの、未知のものは恐怖の対象になる。だからだろう」


オレは人にとって、未知のもの。
ああ、だから


「だからオレは、捨てられたのか…」


うつむきながら無意識に出た言葉は、シーンとした部屋の中に響いた。


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