「あの、誰?」


九歳の俺は勇気を出して聞いた。


「こんばんわ。
僕は研究所からこっそり抜け出して来たただの妖怪ですよ。
あなたは?」

「俺?俺は毛女朗の伊月 純麗。(いづき じゅんり)
九歳。そっちは何て名前?何の妖怪?何歳?」

「そうですか。
僕はヴァンパイアの黒子 ナツカ、(くろこ なつか)です。
綺麗な着物ですね」

「ありがとう。母さんが作ってくれてるんだ」

「そうなんですか。
あっ、僕はそろそろ帰らないと。
それでは」

〔ポンッ!〕


そう言って黒子と名乗ったヴァンパィアは、また煙りに包まれた後、コウモリになりどこかにいった。


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