終わった…。
私は人知れずため息をついてから、手頃な椅子を乱暴に引いてから腰を下ろした。
そして、脱力。
ありえない…、本当にありえないよ…。
弟がゲームのデータを消しやがった。
何故か行方不明になっているカセットを長期間必死で捜し続けていた私は、先程やっとそれを見つけることができた。
久々にプレイできる…と浮かれていた私は上機嫌で起動し、次の瞬間に奈落の底へと叩き落とされた。
保存されていたプレイヤー名は、弟の名前。しかも、バッジの数は0。
苦労して集めた愛しのポケモン達は闇の中へと永久に葬られてしまったのだ。
「あぁぁぁあ…さすがに十回目はやる気起きない…」
そう、弟がデータを消したのは、是が初めてではない。
今回で、合計十回になる。
毎度消される度に必死でプレイするのだが、此処までくると飽きてくる。
最早怒る気にもなれない。
開きかけたDSの画面では、トウヤ君(といっても弟の名前)がモンスターボールを投げていた。戦闘画面だ。
飛び出してきたポケモンはLv.2のマメパトで、此方が繰り出したポケモンは、Lv.5のツタージャ。
気は進まなかったが、何とか操作して攻撃をする。
が、勿論だが…一撃で倒せない。
苦労して育ててきた強いポケモンに慣れていた私は、たかがマメパトに3ターンも手間取るツタージャに早くも苛々が募る。
仕舞には電源ボタンを連打してリセットしてしまった。
Lv.100のアーケオスやシャンデラ、オノノクス…等々。
映画館で、色々な意味で恥ずかしい思いをしながら受け取った貴重なポケモン達。
友達との必死の交渉で譲り受けた能力の高いポケモン…。
全てが、懐かしい。
真っ暗な画面のDSをベッドに放り投げて、自分もベッドに飛び込んだ。
そしてDSで顔面をぶつけた。馬鹿だ。
今現在夜中の2時であるためか辺りは静まり返っていて、徐々に眠気が襲ってきた。
その波に逆らうことなく身を任せた私は、深くて心地の良い場所に沈んでいった。



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bkm



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