博士からツタージャを受け取って早くも1週間という時間が過ぎた。
最初はいろいろ不安があったし、今も物凄く不安だけど…最初よりかは大分馴染めてきたような気がする。
ボールから出しているツタージャは、私には全然懐いていないけれど、トウコのお母さんには少し心を許しているように見える。ツタージャは、私とミュウのあの時の会話をボールの中から聞いていた。何処か余所余所しいツタージャは、多分今もこれからもずっとこんな感じなんだろうな…なんて漠然と思った。
現在、私はトウコの部屋でテレビを見ながらゆっくりと寛いでいる。時刻は、午後一時。
外は燦々としていて快晴だが、外に出る気は殆ど無い。最初こそ"元の世界に戻る"と意気込み、焦っていたが、学校も勉強も何もないこの生活に、私は厭きれる程甘えてしまっている。
"世界消滅"…ミュウはこんなことを言っていたが─人間、聞いたはじめはショックを受けても、その後にそのような傾向が無ければ直ぐに右から左へ受け流してしまうのだ。
その証拠に今の私は、"あの時のミュウは私を驚かそうとして行き過ぎた冗談を言っただけなんだ"なんて考えてしまっている。
平和ぼけした私のような人間に、"消滅"なんて言っても無意味だったんだ。
ほら、例えば─いつだったか忘れたけれど、恐怖の大王が地上に降りてきて地球滅亡…みたいな予言。あれだって、結局嘘だったし…。
「トウコ!ちょっと来て!」
トウコのお母さんの声が下の階から聞こえた。何事だろうか…そう思っていると、ピコンピコンとテレビから電子音が鳴り響いた。
やけに高くて耳に痛いその音はニュース速報のようで、賑やかなバラエティー番組の上画面に白文字のテロップが流れた。
いやな予感が、する。


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bkm



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