窓の枠に止まっているマメパトは、首を忙しなく動かしながらトウコの部屋を見回している。
恐らくだが、入っても大丈夫なのか、危険はないのか確認しているんだと思う。
暫らくしてからマメパトは羽を動かして部屋の中に滑り込むように入ってきた。私はそれと同時に素早く窓を閉める。
「さて、君…私を追いかけてきたの?」
トウコのお母さんに聞こえないように少し声のトーンを落としてボソボソと語り掛けた。
しかし、沈黙。マメパトは相変わらずのまん丸おめめで私の顔をいやに凝視したのち、首を傾げた。
…私が言ってること伝わってるのかな?
それにしても、もし私を追いかけて此処まで来てくれたのなら、こいつ…本当に可愛いなぁ。
そう思ってニヤニヤしながらマメパトを見ていると、何やら聞き捨てならない言葉が頭の中に響いた。
《うん、さっきからニヤニヤしてて気持ち悪いんだけど。》
そう、キッパリと言われた。
ピシリ、ニヤけていた私の表情が一瞬にして冷たい石のように硬直して引きつる。え…、何今の…?
回りを見回すが、私以外に言葉を喋る事ができる人物はいない。
じゃあ、一体誰が…?という話になるのだが、まさか疲労からくる幻聴とか…じゃない、?
目線を下に向ければ、首を傾げながら私を見るマメパト。
可愛いな…、まさかこの子があんな酷いことを言うはずが…
《あのさぁ、何ジロジロ見てるの?鬱陶しいんだけど》
………、あった。
「ええええっ、マメパトって、喋る生き物だったの!?鳩なのに!?ていうか嘴開いてないのに喋れるってどんだけぇぇえ!腹話術!無理がある!」
思わず飛び出る本音。鬱陶しいと言われても余計にマメパト(…本当にマメパト?)をジロジロ見てしまう。
マメパトは傾げていた首を元に戻して再び言葉を私に伝えた。
《喋ってない。テレパシーだよ、テレパシー!》
もし表情があるならばマメパトは意地の悪い笑みで私を見ているだろう。生憎鳩に表情は無いが、"テレパシー"には感情が籠もっている。
そうかそうか、テレパシーか…って、!
エスパータイプでも特別なポケモンでもないマメパトが、そんな高度な技使えるわけないじゃん!
納得しかけたバカな自分に乾杯、



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bkm



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