そこらへんの木の実をもぎ取って、口に運ぶ。
不思議な色合いをしたそれを齧ると、何やらとてつもなく酸っぱくて甘苦い微妙な味がした。
この森には何故か奇抜な色をしている果物が多いけれど、案外殆ど美味しかったりするので驚きだ。…因みに今のは失敗。
「うぇ…まずっ」
そう呟いて木の実をポイっと投げ捨てると、何処からか鳩らしき鳥がバサバサとやってきて木の実をツンツン突いて食べ始めた。
本当何処からやってきたか問い詰めて早く此処から出たいのだけど、生憎私は人間なので…
クルッポッポーなんて鳴き声を理解できるはずもなく。
この鳥が木の実を突くところをじっと観察して暇を潰す。
この森はとてつもなく広いらしい。
私が此処に来て約3日は経ったのだろうか?
ずっと歩き続けているのだが一向に外に出ることができない。
最初は動き回るのは危険な気がして歩けなかったが、暗い森のなかをじっと過ごすよりかは歩いたほうがまだ良かった。
それに、時々やってくるこの鳩もどきはそれなりに可愛いし。
しかし、警戒心が強いのか近づくと直ぐに飛び去ってしまうか、突拍子も無い大風が起こって吹き飛ばされそうになる。
1、2回くらいは挑戦したが、全て惨敗に終わり…私はことごとく追い払われている。
まあ、これだけちょっかいを出しても未だにこの場所に来てくれる鳩もどきは…少しは私の心細い心情を理解……出来るわけ無いよな、鳩に。
ハァ、と溜め息を吐くと鳩もどきがクリクリと真ん丸なおめめで私を一瞥してから首を傾げた。



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