部屋の中で寝ているはずなのに、周りは何処か肌寒く、モフモフの布団の上の筈なのに、フサフサ、ガサガサ、ゴツゴツしている。
正直言うと寝心地は最悪で身体中がいたい。
半ば苛々しながら、目を瞑ったまま手を動かしてDSを探す。
結局のところ、何回消されてしまってもしてしまうのだ。しかし、
「……無い。」
頭のすぐ横に置いていた筈のDSはいくら手を動かしても見つけられない。
明らかに可笑しいと気付いて慌ててガバリと身を起こすと、目に映ったのは見知らぬ森の中。
「え…此処何処だよこんちくしょー」
何処に目を遣っても、木木木大木、緑黄緑深緑。
というか、地面の色が殆ど多い尽くされてて見えないし、空は木に邪魔されてやっぱり見えないし。
まるで、閉じ込められてしまったような閉塞感に、思わず身震いした。
この場から動いていいのかも分からないし、大体何で私は此処にいる…?
分からない…、けど。
此処は夢なんだ、そうなんだ…と自分に言い聞かせると何とか落ち着くことができた。
私はまだまだ沢山やりたいことがあったし、夢や希望だってあった。
だから…例え目の前の景色が夢とは到底思えないほどハッキリとしていても、認めたくないのだ。
まさか、"トリップ"した…なんてそんな非現実的なこと。
この時の私は無意識にその事実を拒否していたみたいで、これが"現実"だと気付くのには約一週間分の時間を費やした。



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