book | ナノ




それが愛だと知っていた



私が住む1LDKは、日当たりも良くリビングが広いところがお気に入りだった。特に最近買い換えたソファはふかふかで座り心地が抜群。この家にしては少し大きいものを奮発したので、2人で座っても十分な広さだ。以前置いていたものも悪くは無かったのだけれど、一人掛けのものを2つ並べて使っていたので、2人で座るとなんとなく心がスカスカするような距離が気になって買い直したのだった。

今日は私の仕事もお休みで、ホークスも珍しくオフの貴重な休日。けれど特別なにかをするわけでも無く、午前中に起きて洗濯をして、昼食にはパスタを作って2人で食べた。ホークスは私の作ったものをなんでも「うまか!」とにこにこしながら食べてくれるので、いつもついつい作り過ぎてしまう。今日もお腹いっぱいと言いながら全部平らげてくれたので、私は嬉しくなってありがとうと言うと、こちらこそと返ってきた。

お腹も十分に満たされたので、今は2人でバラエティの再放送を見ていた。ふと隣に座っているホークスを横目で見ると、テレビがつまらないのか・はたまたお昼ご飯を食べた後で眠いのか、それともお疲れなのか。多分全部なのだろう、あくびを何度かかみ殺しながらなんとか意識を保っているようだった。そんなホークスを見ていると、私はいつも無性に甘やかしたい気持ちになる。それなら、とおもむろにソファに腰かけてから「ホークス、こっちこっち」と声を掛け、ソファを軽く叩いて隣に座るよう促した。頭が回っていないのか最初はきょとんとしていたホークスだったが、ぱちぱちと何度か瞬きをした後ゆっくりと私の隣に腰かけた。

「ん?なんだった?」
「別に何ってことではないんだけど」
「俺が眠そうにしてたから?」
「それは見たらわかったけど、そうじゃないよ」

私が何を言いたいのか分からない、といった面持ちでホークスは「今日の名前はなんか掴めんね」と言って、それから少し考えた素振りを見せて、結局黙って私の肩に頭を寄せた。ふわふわとした髪の毛が頬を撫でてくすぐったい。ふふ、さすがホークス。掴めない、なんて言いながらちゃんと私の気持ちを汲み取ってくれたようだ。ヒーローという仕事が激務であることも、私と一緒に居たいと思ってくれていることもちゃんと知っているから、私ができる範囲であればなんだってしてあげたい。けれど“疲れているなら寝ていいよ”なんて言うのはちょっとそっけなさ過ぎるでしょう?だから私がやりたいように、ちょっとの我儘を添えてこの気持ちを受け取って欲しかったのだ。

どこまでもあったかくて、優しい空気に絆されて、私までうつらうつらとしてきたので、ホークスの方へ私も頭をこてんと寄せる。するとソファに投げ出されていた私の手にホークスの手が重なって、それから間もなくして静かに寝息が聞こえ始めた。その間際に聞こえた「こげなとこも好き、」という言葉に、私も随分甘やかされているのだなぁと、夢見心地で瞼を閉じた。

×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -