「ナマエ、貴女またポッター達と一緒になってセブルスを苛めたわね!」

そう言って腰に手を当てて私を睨みつけるのは私の好きな人。突然部屋の中に入って来たと思ったらいきなり説教だなんて、なんとも彼女らしい。緩いウェーブのかかった髪がメラメラと燃えているように見えた。もちろん目の錯覚だけど。
恋をすると相手の名前さえも愛しく思えてくるらしい。リリーと小さく呟くとゆるゆると頬が緩まる。ああ私、きっとだらしない顔してるわ。

「リリーって、どうしてそんなに可愛いの」
「なっ‥」
「驚いた顔もかわいい」
「あ、あのね、わたしは怒ってるのよ」
「うん。でも今日は糞爆弾投げただけだわ」
「十分よ!」

髪の毛に負けないくらい顔を真っ赤にして憤る姿もなかなか可愛い。
嫌われたくないので肩をすくめて渋々謝るが、反省なんて全くしていない。彼女はセブルスにちょこっと悪戯をするだけで私に会いに来てくれる(と言っても叱りにだけど)。私はそのために悪戯をしているだけだし、大体好きな人に会いたいが為にしてるだけなのにどうして怒られなきゃならないの?

「今度セブを苛めたりしたら許さないわよ」
「えー?どうせ何もしないじゃない。それ毎回言ってるわ」
「‥‥今度こそ、よ!」

ふん!と胸の前で腕を組んでそっぽを向く姿にきゅうっと胸が締め付けられる。あーもう、なんて可愛いの。

「ねえ、キスしていい?」
「え? なに‥、」

返事を待つ僅かな時間さえじれったくて、強引に腰を引き寄せてキスをする。額に頬に唇に。できるならずっとこうしていたいけど、そうはいかないらしい。リリーが手を振り上げるのを見て慌てて唇を離した。

「‥‥な、なな何するの!」
「何って、キス」
「そんな事は知ってるわ。私は何でこんな事をするのかって聞いてるのっ」
「そんなの、リリーが好きだからよ。あなたも私を好きだからキスを受け入れたんでしょう?」
「ち、違うわ。今のは貴女が強引に‥!」
「でも抵抗しなかったじゃない」

ねえ?とかすかに首を傾げると口をもごもごと動かしながら部屋を出ていった。うん、これは脈ありだわ!明日もよろしく、セブルス君。


私の好きな子



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