恋ってすてきね





世の中には私みたいな女なんて五万といるだろう。そんな中から私を選んでくれた名前は、私のなにを好きになってなにを大事に思ってくれているのだろうか。名前は誰にだって優しくて頼り甲斐がある。名前が好きな人はそりゃたくさんいるだろう。だってこの前は隣のクラスのイケメンに告白されていたし。それでもそんなイケメンより同じ性別の私を選んでくれた名前に時々申し訳なく感じる。だって私は素直じゃないしいつも名前の隣に居ないと落ち着かないし独占欲だって強い方だ。前に名前が友達とふたりで遊びに行ったのが許せなくて泣いたら、名前はそれ以降は私以外誰とも遊びに行かなくなった。名前は私の我が侭に嫌な顔ひとつしないんだ。そして今日も私の前を歩いて、私の名前を呼びながら笑顔で振り返る。本当に名前は私のことが好きなのかな。私は名前が好きで好きで頭が可笑しくなってしまいそうなのに。



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最近、さぶ子が随分と悩んでいるようだ。主に私のことで。それを雷蔵から聞いたとき、私はまたさぶ子を好きになった。なんて可愛い娘なんだろう。前に悪ふざけで友達と遊びに行ったときは本気で泣いちゃって悪いことをしたと思う。でもそのおかげでさぶ子が私のことをどれだけ好きで居てくれてるかがわかって嬉しかった。私ってとても性格が歪んでいる女だよね。だけどそうしないとさぶ子の気持ちがわからないし、何より私の愛が伝わらないの。だから私はさぶ子のひとつ前を歩いてさぶ子に自分の心を見えないようにする。ほら、私が振り向いてあげるとさぶ子は嬉しそうな顔をして私を見つめるでしょ。誰かの心を自分のものにするって難しいものよね。
   恋ってすてきね



「さぶ子」

「なに?名前」

「さぶ子大好き!」

「っ……!」


ああ、顔を真っ赤にしちゃって可愛いんだから!



素直じゃない者同士の恋愛って素敵じゃないですか
Title by 変身






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