立向居とビッチ女







休み時間



私は旧校舎の二階トイレに居た。勿論一人じゃない。私の目の前には絶頂を迎え、気絶してしまったなんとか君(名前は忘れてしまった)がいる。
私は別に彼を愛してる訳じゃないけど、取敢ずマナーとして後処理はしておいた
一応同級生なこいつはどうやら私のことを好きらしく誘ったら喜んでついてきた。

トイレの個室に入った瞬間自分のチンコを私の太股にぐいぐいと擦り付けてくるので不快に思い膝蹴りをくらわしたがそれも気持ち善かったらしく更に勃起させその後はご想像のとおりだ。ともあれ、早くこいつを起こして授業に出ねば。くそつまらんセックスをして時間を無駄にしたことを悔いる。肩を揺らし起こしてやると彼は顔を赤らめ私に好きだと言ってきたが一蹴した。


「無理。第一、アンタ相手に欲情できない。アンタがあんあん言ってる間中私の股は一滴たりとも濡れなかった」
そう言い放ち私はトイレから出て洗面台で念入りに手を洗った。


教室へ戻ると友人にまたヤってたの?(笑)と言われたが適当にあしらった。 私の中でアレをヤったことにしたくなかったのだ。 そのまま授業を受けてまた休み時間。私の前にヒロトが来て昼食を誘われたので私は了承しておいた。

昼休み二人で屋上に行き私はお弁当をヒロトはパンを食べた

「ねぇ。最近あんまシテないみたいだね。何かあったの?ビッチと名高い名前が」

「テメーもビッチだろうが。…生理があったのとまぁ、色々あったんだよ」

「本当に? 生理だろうとヤりたきゃヤるあの名前が?」

わざとらしく言って顔をにやつかせるヒロトにイラッとしたが言われたことは事実だ、反論はない。

「そうだよ。あ、でも今日よく知らない奴を一方的に犯した。でも濡れなかったな…」

「名前でもそういうことあるんだね。俺びっくりだよ」
「笑顔うぜー。氏ね」

「ハハ、ひどいなぁ」
肩を竦めて笑うヒロトに殺意と心配してくれているんだという嬉しさがこみ上げた。

「ねぇ、あんたサッカーやってるじゃんか」
「うん」
「そこにさ、立向居って子いるでしょ?」

「うん、いるよ」

「実はさ、その…。そいつに‥「告白されたの?」先に言うなよ!」
「え、マジ?」
「うん」
「へぇ、あの立向居くんがね〜。で、なんて返事したの?」

「取敢ず、私がどういう人か知ってる?って聞いた」
「で、知ってるって言うからどう知ってるの?って聞いたら、少し生活が乱れてる方と丁寧に言われた」

「うん、彼らしいね。で、名前はなんて言ったのさ」

「私はこんな奴だからキミみたいに純粋な人とは無理だということを教えてあげた」
「そしたら少し考え込んで、俺諦めませんから!と言って私に接吻をかまして帰って行った」

「おおー!!やるね立向居くん」
ニヤニヤしながら私を見るヒロト。殴りたい衝動に駆られたがなんとか自分を落ち着かせる。

「でさ、その日から私が居る場所にことごとく現れて私のストレス解消を上手い具合に邪魔してくるのよね」
「フーン。でも名前嬉しそうだね」
「え?」

「だって、そんな日々が楽しいとか思ってるんでしょ?」

本心を見抜かれ私は言葉に詰まった。ヒロトは何でも見透かしてくる。まぁ、だから話しやすいしなんでも言えるんだけどね。

「そうかもね」



吹っ切れた様に笑い、何かを決断したような名前を見てヒロトは心の中で静かに名前の幸せを願った














放課後


ヒロトに恋のお悩み相談らしきモノをしたせいかなんとなく立向居を意識してしまう。
けれどそんな中でもやはり私の体は欲望に忠実なのか、欲求には逆らえない。
適当にちょうどよさそうな男を見つけ声を掛けようとしたとき後ろから名前を呼ばれた。

「名前先輩!!」
「!立向居…」

立向居は私の傍まで来て私の手首を掴んだ。いつもの彼と違い少し眉間に皺を寄せている。
今の私の気持ちを例えるなら浮気が見つかった時の男の気持ちだ。
付き合ってもないのにこんな気持ちを感じさせるなんて立向居は恐ろしい奴だ。
なんておちゃらけたことを思っている私だが実際それ程の余裕はない。
普段は感じない後ろめたさを私は今感じているのだ。今まで付き合っていようとそんな風にはかんじたことなかったのに…。


暫くの間私達に沈黙が流れた。



「ちょっと来てください」

「え、ちょっ!!」

立向居は私の手首をぐいぐいと引っ張りどんどん進んでいく。
この方向はどうやら体育館裏の方だ。人気の少ない体育館裏に着くと立向居は足を止め、まっすぐな瞳で私を見てきた。

あぁ、やめてよその目。私は彼の曇りのない目が苦手だが好きでもあった。

「名前先輩」
彼は私の名を呼ぶと体に腕を回し抱き締めた。

「ッちょ、立向「好きです」

ぎゅうっと強く力をいれられる。背丈があまり変わらない私達。私の肩に埋められた為顔は見えないが、ほんのりと耳が赤いのがわかった。

「女々しいのはわかってます。でも好きなんです。俺だけを、見てくれませんか?」

彼は顔を上げ、再び私をその澄んだ瞳に写した。

いつも私を追うときのような愛らしい表情ではなく、今の彼は確かに一人の男の表情をしていた。






所詮彼も只の男だったのだ




「うん、いいよ。ずっと見てる」

彼なら捕まってみるのも悪くない、本気でそう思えたのだ。











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