赤いキャップのアイツ




※主は孤児ではなく一時期預けられていただけ。通う学校の都合で主と風介と晴矢との三人暮し、な設定です。











初めてのキスはマヨネーズの味だった。



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昔、お日さま園に預けられていた頃お昼ごはんにブロッコリーがでて、私はマヨネーズをつけて食べた。

隣にいた風介は「マヨネーズがついてるよ」と言ってそのまま私の口ごとパクリ。
そのときはよくわからず「ありがとう」なんて言った。風介も「どういたしまして」と今では考えられないくらいスナオだった。

それがファーストキスだった。


あれから数年、私も風介もそんなことはとっくに忘れ晴矢も含め相変わらず仲良くやっている。

で、今なぜそのことを思い出したかというと現在進行形で付き合ってる奴にキスを迫られそうだからだ。
いや、好きだよちゃんと。キライじゃないんだけど、なんでか体が拒否をしている。

「名無し…」
なんて ああー!!もうそんな風に呼ばないでよォォォ!
唇まであと数センチ。

ちょっと触れるということだけなのに、私は我慢できず突き飛ばしてしまった。

…やってしまった。

「ご、ごめん!!どうしてもキスはマヨネーズ味じゃないとダメなの!」

焦ってとんでもないことを口走ってしまった。
なんだよマヨネーズ味って…。私は自分の鞄をとりダッシュで家に帰った。

ああ、終ったな…。突飛ばして拒否したあげくマヨネーズ味って。
私はトボトボと家に帰り自室へ行ってベットに沈んだ。
一緒に暮らしている風介と晴矢は部活で遅くなるから暫く一人だ。それに晴矢は昨日から友達の家に泊まっているし。私は帰ってくるまで眠ることにした。



+++++




「名前、名前…」

「ん、…風介。お帰り」

「ただいま。飯もできてるから食うぞ」

「はーい」

下へと降りて用意されていたごはんを食べる。
嫌なことに食卓にはブロッコリーとマヨネーズが鎮座されていた。
うわぁ、なにこれ。激しくデジャヴ。

私はマヨネーズをつけむしゃむしゃとブロッコリーを食べた。いろいろな思いを浮かべながら。

「マヨネーズついてる」
「え、」

風介の言葉に軽くびっくりした。風介は私に近づいてくる。

うわっ、ちょ、え、なにこれ??
私はドキドキして反射的に目を瞑った。

「とれた」

「へ?」

目を開けると風介は私の口の端から掬い取ったマヨネーズをぺろりと舐めた。

わぁぁぁ!エロイです風介さん!!
てか、キスされるかもなんて思った私がすごく恥ずかしい。

風介は平然として食べ続けている。自分一人が意識してバカみたいだ。
でも、彼氏にされるかもって思ったときはすごく嫌だったのになんで風介だと平気っていうかドキドキしたんだろ…。
悪い女なのか自分。

「今日走って帰ってたけど、なんかあったの?」

「えっ!?」

まさか見られていたとは…!!
私は目を泳がせながら 実は…、と少しずつ今日あった出来事(マヨネーズのくだりは抜き)を話した。



+++++




「ふーん。教室でそんなことしようとしてたんだ」

「向こうがね。私は付き合ってるし、いずれはしなきゃって思ってたんだけど。なんだか体が拒否しちゃって、全然きらいじゃないんだけどね…。まあ、冷静に考えてみたら、キスできる程好きじゃなかったのかと思って」

「明らかにそうだろ」

「ですよね、はい」

だが、風介には別に嫌な感じはしなかったのだ。
私はマヨネーズのくだりを言おうか迷っていたがこうなったら…、と思い言うことにした。


「で、マヨネーズ味じゃないとダメって言ったと…」
笑いを必死に堪える風介に私は少し睨む。

「確かに笑えるけど、仕方ないじゃん。咄嗟に出たんだもん」

あー、恥ずかしい。とんだ笑い話だ。
恥ずかしさとか、後悔とか、なんかいろいろなものがごっちゃになって机に突っ伏した。さっきから何の反応も示さない風介を不思議に思い、顔だけ風介の方へ向けるとどこか嬉しそうに私を見ていた。

「…、なんで嬉しそうなの?」

「ん、…なぜだろうな」

それでは答えになってない。私は伏せていた体を起こし、しっかりと風介と向かい合った。

「…君が、そう感じてくれたことが嬉しかったんだ」

「どういうこと…?」

首を傾げる。
今さらだけど本当に風介はキレイだな。さっきから私は、彼の透き通った碧い瞳から目が離せない。彼も私の瞳を捉えて離してはくれない。

ゆらゆら、
揺れる瞳がちかづく。

「こういうことだ、」
最後に見たのは風介の、目を伏せた綺麗な表情。

唇からぬくもりが伝う。

「………。」

唇が離れ、私たちは暫く見つめ合ったままだった。


「つまり、私も名前と一緒ってこと」

そう言い残し、風介は風呂へ行くと言って行ってしまった。


私と一緒ってことはつまり、風介も私とするのは平気ってことで…。

「!!うわ、」

瞬間、理解し顔に熱が走る。
気づきたくなかったから頑張って考えなかったけど、風介とのキスを思い出した時点で私が風介のことを好きなのは明白だったんだ。そして、風介が私と一緒ってことはたぶん彼も私のことを…!!


…取り敢えず、彼が風呂からあがるまでに今の一応まだ付き合ってる人はどうしようとか、早速考えちゃってる私はちょっと悪い女かな。なんて、風介が行ってしまったあとを見ながら思った。


風呂から出たら言おう。
好きだと、
そしてもう一度キスをしよう。
またマヨネーズの味かもしれないけど、私達にとってそれはきっと懐かしくて優しい気持ちになれる。そんな味なのだ。




犯人はアイツ






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やらかしてしまったww

相変わらず我ながら意味のわからない文です。

言いたいのは取敢ず犯人はマヨネーズということです、はい。



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