▼ 03
■■は、さっきまで途方にくれていた自分が嘘のように満面の笑顔で警察庁の出入り口に立っていた。
降谷の姿を見ることが出来たことが余程嬉しかったのだった。
〜♪〜
スマホに着信音が流れて画面を見ると警視庁刑事部に所属している佐藤美和子からだった。
《あ、もしもし?栢木さん?》
『もしもし、佐藤先輩ひさしぶりですね。どうしたんですか?』
《ひさしぶりね。急なんですがこの後ひまかな?実は、交通課の由美と一緒に飲みに行くことになったんだけど、栢木さんもどうかなって思ってね》
『行きます!』
《じゃあ、集合場所は東都の・・・・》
『わかりました!』
電話を終えた■■は、降谷にメールを送った。
【零さんへ。今夜、警視庁の女性陣と一緒に飲みに行くことになりました。行ってきますね】
『・・・よし』
■■はスマホを鞄にしまうと足早に集合場所へと向かったのだった。
-----
---
-
集合場所に到着すると佐藤達は既に中で待っているという。
店員が個室まで案内をしてくれた。
『お待たせしてスミマセン』
「あ〜!きたきた♪お疲れ様〜」
交通課の宮本由美が■■を自分の隣が空いてから座るように誘導してくれた。
掘りこたつになっていて、席に座ると宮本が「とりあえず生をお願い!」と言ってくれた。
「■■さん、急にごめんね〜」
佐藤が小皿と箸を■■に渡してくれた。
■■は『あ!すみません!!』とお礼を言いながら受け取ると意外と早く店員がお酒を持ってきた。
『いえ、大丈夫ですよ!私も飲みたい気分だったんですが同僚が予定あって全滅だったので』
「じゃあ、お酒もきたことだし〜・・・乾杯しましょうか!」
「「かんぱ〜い!お疲れ様」」
『乾杯♪お疲れ様です』
お酒を二口飲むと宮本がゴクゴクと飲んでいた。
「由美、ペース早いんじゃない?」
「何言ってるのよ〜♪せっかくの女子会じゃないの!」
佐藤が心配するがお構いなしに呑んでいる宮本に■■は苦笑していた。
楽しく飲んでいると宮本が日頃の
鬱憤を爆発させていた。それに便乗する形でお酒が進んだ佐藤も色々と話しては笑ったり泣いたりして逆に大変な思いをしてしまっていた■■だった。
『お二人とも少し休憩しましょうよ?ね?』
■■がお冷を二人に渡して飲ませようとするが、宮本が「何を甘ったるい事を言っている!」と言いながら■■に抱き着いてきた。
完全に酔っぱらった宮本はベタベタとしていると誰かのスマホに着信音が流れた。
〜♪〜
三人して確認すると佐藤に着信がきていた。
電話の相手は高木からだったようで、佐藤が電話に出るも少し話が堂々巡りし始めてしまっていた。
■■が佐藤に電話を変わって欲しいと頼みスマホを借りた。
『あ、高木君。栢木です』
《栢木さん!?佐藤さんと一緒に飲んでいたんですね》
『交通課の宮本先輩も一緒に呑んでいて・・・、
二人とも飲みすぎちゃってて助けに来てもらえませんか?』
■■が小声で高木に助けを求めた。高木は今から向かうと■■に言い電話を切った。
「■■ちゃ〜ん??いまぁ、高木に迎えお願いしたっしょぉ?」
背後から宮本が■■に抱き付いてきた。
『もう、時間も遅いですしそろそろお開きにしないと。ね?』
「まぁーだ、足りないのぉ〜!」
宮本は、■■の首筋にカプッと甘噛みをすると強く吸い付いてきた。
『ちょ!?宮本先輩??!!』
「にゃははは〜!■■ちゃんにキスマークつけちゃった♪」
デレデレになった宮本が■■に寄り掛かるとそのまま眠ってしまった。
その隣で佐藤が横になって一緒に眠りについてしまって、■■は大きな溜め息をついた。
二人が寝ている隙に■■はトイレに行った。
鏡を見て、宮本がつけたキスマークを消そうとするが口紅は落ちても跡は残ったままだった。
『もう、宮本先輩ってば、こんなにくっきりと付けなくても・・・・』
■■は、溜め息を零した。
数十分後に高木が車で迎えに来ると佐藤と宮本を後部座席に乗せた。
■■が会計を済ませると助手席に座った。
「栢木さん、すみません」
『そんな、私の方こそ助けを求めてしまってスミマセン・・・』
高木は宮本の自宅へ行くと■■と一緒に部屋まで運んで行った。
『さてと・・・次は佐藤先輩ですが』
「あ、佐藤さんは僕が最後に送っていくから大丈夫だよ」
高木は宮本の自宅に鍵をかけてポストに鍵を入れた。
メモも残したし問題はないだろうと二人は苦笑しながら車に戻った。
高木は、■■の自宅まで送り届けた。
『私まで送ってくれてありがとう。助かっちゃった』
「今日はお疲れ様でした。じゃあ、僕は佐藤さんを送って行くね」
『うん、おやすみなさい』
高木は車を走らせると■■はその後ろ姿を見届けると自宅マンションへと入って行った。
prev /
next