夢小説+短編+ | ナノ

 02

「何しているんですか?」
後方から声をかけられ、■■が振り向くとそこには降谷の部下の風見が立って見下ろしていた。


『風見さん、お疲れ様です』
■■は慌てて端に移動した。


「お疲れ様です。ここで何をされていたんですか?」
『えっと・・・、途方とほうにくれて空を見上げていました』
「途方に・・・・・・?」
風見が首を傾げていると■■が両手で顔を隠していた。


「もしかして、降谷さんのことですか?」
風見が降谷の名を出すと■■の肩がビクッと動いた。




暫く黙っている■■に風見が眼鏡を持ち上げると「栢木さん、ちょっと来てください」と言われ、■■は風見の言われるがままに後ろをついて行った。



行った先は、警備企画課だった。
風見がドアをゆっくり開けて■■を手招きし指さした。


「見えますか?」
風見が指さした先には、彼氏である降谷がデスクに向かって大量の書類に目を通している後姿が見えた。


『・・・あ!零さん』
久し振りに彼の姿を見た■■は、嬉しそうな顔をして名前を呟いていた。



「降谷さんは、ずっと遅くまで仕事をしています。ここの仕事だけじゃなく別件でも仕事をしているので休む暇がないので少々心配をしているんですが、私たちが何を言っても聞き入れてくれないんですよ」
風見は最近の降谷が仕事に根詰めている事を■■に話した。


『零さんがどんな内容の仕事をしているか知らないのですが・・・、やっぱり大変なんですよね?』
風見から聞いた話を想像する■■だったが実感が湧かないでいた。
そんな■■の質問に風見は小さく頷いた。


■■は、そっとドアを閉めた。





降谷が頑張って仕事をしているのに自分自身は3ヶ月も会えなくて辛い等と弱音を吐いた上に他に好きな人ができたんじゃないかと疑いを持ってしまった事を恥ずかしく思えた。





「・・・ここからは私の独り言ということで聞かなかった事にして下さい。降谷さんが栢木さんに会えなくて時々名前を叫んだり禁断症状が出たりしていたんですよ」
風見は、■■に背を向けて話していた。

それを聞いた■■は、降谷がこんなにも好きでいてくれている事に嬉しく感じていた。
さっきまでの寂しさや不安な感情が一掃された様な感じがした。



『風見さん、久し振りに零さんの姿を見ることが出来て嬉しかったです。ありがとうございます』
■■は、お礼を言うと嬉しそうな顔をして少し顔がゆるんでしまっていた。



− カシャ! ―


風見は■■の顔をスマホで撮影すると「よし」と言いポケットにしまった。
そんな風見の突然の撮影に■■は固まって何が起きたのか分からないでいた。



『えーっと?』
「気にしないでください。降谷さんの仕事の効率を上げるためのものですよ」
風見が背を向けた際に薄っすらと口角が上がったのが見えた。



「栢木さん、気を付けて帰ってください。お疲れ様でした」
風見は、そう言い残すとドアを開け中に入って行った。





『私の写真と零さんの仕事の効率が何の関係があるの??』

一人残された■■は、風見が残した言葉に首を傾げていた。







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