夢小説+長編+ | ナノ

 01

外は漆黒の闇に包まれ少し雲がかかり、月明かりがまばらに差し込んでいた。


山奥にある大きな古城。
そこで年に数回行われる秘密のパーティーが開催されていた。

秘密のパーティーに必須というべきか、仮面を着用する大勢の男女が、お酒を飲みながら賑わしていた。



煌びやかな会場にバーボンは一人の客として潜入していた。



仮面をつけしているが、会場に入るなりバーボンの周りに数人の女性たちが集まった。
女性たちはバーボンにお誘いをするが言葉巧みに全て受け流していた。



グラスを手にテラス側の窓へ移動し、壁に寄り掛かり周りを見渡していた。
ボタンホールに参加者用のバッチが飾られているが、そのバッチを細工し小型カメラをつけ、こっそりと写真を撮っていた。





この会場に来たのは、ベルモットからの依頼だった。
内容は、主催者夫婦から組織に関するデータを抹消する事と資産を全てダミー会社に送金することだった。
バーボン以外にも組織の人間が数人潜入するが彼らは主催者夫婦を殺害し、強盗に押し入られたように細工する傭員と聞いている。


主催者夫婦の傍にはSPが常にいて、迂闊に近寄ることが出来ない。
しかし、妻のほうは何度もバーボンを見ては微笑みを投げかけていた。
バーボンは妻を簡単に落とせると自信があり、そのチャンスをうかがっていた。









ふと、会場の一番奥にあるステージ脇に布がかけられている事に気付いた。

「あれは・・・」


目を凝らし布がかけられている物を見ようとした時、突如会場内の照明が全て落とされ、ステージに照明が集まった。


壇上に一人の男が現れると今宵のパーティーに集まった客に感謝の言葉を述べると、手をステージ脇に向けた。その時、布で覆われていた場所にスポットライトが当てられた。



ウェイター二人が布を引っ張ると現れたのは大きな鳥籠だった。

その瞬間、会場にいた人たちが声を上げたがバーボンは息を呑んだ。


鳥籠の中には、一人の女性が装飾された椅子に座っていた。

その姿は、真っ白な髪に真っ白な肌で瞳は赤かった。
微動だにしない彼女の姿はまるで人形のように見えた。




主催者のコレクション自慢が始まった。




「アルビノですか・・・」
バーボンは口元を隠し、鳥籠にいる女性を見つめていた。




バーボンの傍にターゲットの一人である妻が近寄り、腕に抱きつき耳元で誘いを囁かれた。
チャンスだと思ったバーボンは一緒に会場から姿を消した。

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