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降谷は、喫茶店ポアロで”安室透 ”という名でバイトをしていた。
安室透で探偵をしたりバイトをしたりと表で動くときは都合がいい。しかし、”安室透 ”の事はまだ■■に話していない。もちろん本当の名である”降谷零 ”のこともいつか話さなくてはならないと思っていた。


安室はバイトが終わり店を出ると店先で常連の女子大生の二人が立っていた。
どうやら安室を待っていたようで、店から出てきた安室に駆け寄ったショートカットの子と、その女性の後ろに隠れて恥ずかしそうにしているストレートロングの子。

安室がバイトの時は大体店に来てくれる彼女達が、”安室透 "に好意を向けている事には薄々気付いていた。よく来てくれる常連ということもあって何気ない会話もそこそこしてきた。安室の好きな物や嫌いな物、彼女がいるか等の質問も頻繁にあった。

そして、今のこの状況。
彼女達の真剣な目に安室も正面から彼女達の”気持ち”にきちんと答えようとした。


二人とも安室に告白をした。
安室は、微笑み返すが自分の気持ちを正直に彼女達に伝えた。


「君たちの気持ちはとても嬉しいです。ですが、僕には好きな人がいます」
そう伝えて、深く頭をさけた。
安室に好きな人がいると聞いた彼女達は泣きながら返事をし、そのまま帰って行くのを見届けた。



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自宅マンションの駐車場に着いた安室は車を降り、腕時計の時刻を見た。
自宅に入る前に深呼吸をし、安室からバーボンへと切り替えてから鍵を開けた。



「ただいま」
『バーボン、おかえりなさい♪』
玄関先で待っていた■■に「おかえりなさい」と言われる事がこんなにも幸せで嬉しいことなんだと身に染みた。


バーボンは自室で着替え終えると■■が夕飯の準備をできるだけしてくれていた。
帰宅してから一緒に夕飯を作ることが日課になっていた。


料理をしながらバーボンが■■の包丁さばきが少し上達した事を褒めると『やった♪』と嬉しそうにはしゃいでいた。


作り終え、一緒に遅めのご飯を食べているとバーボンは箸を置き■■を呼んだ。

「■■、この後、大事な話があるんだ。聞いてくれるか?」
真剣なバーボンの表情に■■は頷いて返事をした。



片付けも終わり、バーボンは自室に行き封筒を持ってソファに向かい合って座った。

「■■。この前、言えなかった事をこれから話すよ」
バーボンは封筒の中身を取り出しテーブルに並べた。

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