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『何も出来ない私に掃除とか料理とか・・・教えて頂けませんか?』
翌朝、朝食の支度をしているバーボンに懇願するように■■がキッチンで正座をし、頭を下げていた。


「コホン。とりあえず・・・■■さん正座はやめましょうね?」
『礼儀として、”人にお願いするときは正座をして頭を下げる”と主から教わりました』
「・・・その教えを一旦忘れて下さい。僕がちゃんと意味や使う場面を教えますから」
複雑な表情をするバーボンに■■はキョトンとし首を傾げていた。

「じゃあ、手を洗って食器棚からお皿を出して下さい」
バーボンが手伝いの指示をすると■■は目を輝かせて首を上下に振り、嬉しそうに指示通りに動いた。


■■が出した皿に朝食をバーボンが盛りつけ、炊飯器からご飯を盛り「はい」と■■に渡した。
テーブルに並べ終えて、一緒に席に座るとオムレツの時の様な顔で見つめていた。



「そうでしたね、■■さんの今までの基本の食事とは違うので説明しますね」
1つ1つ簡単に説明するバーボンに頷き記憶しようとしている彼女の行動が可愛く思えた。


箸を彼女に渡すが、子供のような持ち方をした。

『・・・ごめんなさい』
うまく箸を持てなくてオロオロしていると、バーボンが「こう持つんです」と手本を見せるが彼女は眉間にしわが出来てしまいそうな勢いで『こう、ですか?』と箸を動かした。


「じゃ、こういう持ち方をしましょう」
■■の持っていた箸を一旦バーボンが預かり、一本だけ渡した。

「鉛筆の持ち方と同じようにして・・・、そうそう。上手ですね。次にもう一本の箸を親指付け根から指の間に差して・・・、中指は箸と箸の間に来るように・・・こうですね。出来ました」
バーボンは■■に箸を持たると自分も箸を持ち動かして見せた。


しかし、■■は箸を持つことが出来ても動かすことに苦戦していた。


「ゆっくり練習しましょう、ね?」
『はい』
ゆっくり食事をする■■に多少バーボンはペースを合わせた。


食事が終わり、片付けも彼女が手伝った。

その後の掃除や洗濯も教えた。
洗濯機の使用の手順を教えていると紙と鉛筆を取り出した。紙に絵を描き手順を覚えようとしていた。

「字・・・書けない?」
『・・・はい』
恥ずかしそうにいう彼女に頭を優しく撫でた。

「勉強も教えてあげますね」


嫌な顔を一つもしないで色々と教えてくれるバーボンに彼女は不思議な感情が芽生えたのだった。

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