▼ 06
その目に■■は、ゾクッと身震いを起こした。
『あっ・・・』
恐怖心で言葉がうまく出ず、持っていた缶ジュースを落としてしまった。
「・・・ごめん、怖がらせてしまったね」
さっきの冷たい目は消え、バーボンは■■が落とした缶ジュースを拾いゴミ箱に捨てた。
ゴミ箱に捨てている間に■■は立ち上がり、後退りをした。
『・・・さっきの怖い顔・・・知ってます。人を殺める時の顔ですよね』
震えた声で■■はバーボンとの距離をとった。
「そうだね、怖い怖い組織に所属しているからね・・・」
『なんで・・・、なんであの時助けたりなんてしたの。あのまま放ってくれたら自由になれたのに・・・っ』
■■は涙を浮かべ、その場で泣き崩れてしまった。
「死ぬことが自由だと思っているのか?」
泣き崩れた■■の前に屈み、バーボンは■■の肩を優しく擦った。
「君はこれ以上自分自身を傷付ける行動を辞めた方がいい。新しい主を探すくらいなら僕の家にくるといいよ」
バーボンは泣いている■■の顔にそっと手を添え、涙を優しく拭うと「君がよければ、おいで」と言い、さっきまでの冷たい表情とは、まるで別人の様だった。
『・・・私は、アルビノですよ?』
「それがどうした?何か問題でもあるのですか?」
『・・・お金持ちの人が私を欲しがっていますよ。危険ですよ?』
■■は大粒の涙を目尻にため込み、危険だと主張するがバーボンは鼻で笑っていた。
「僕は強いですし、簡単に貴女を奪われるようなヘマはしません」
そう言い、泣き崩れ座っている■■を抱きかかえた。
■■が小さく頷くとバーボンは助手席に座らせた。
再び、車を走らせるとバーボンのスマホに電話がかかってきた。
「はい。・・・ええ、無事に任務は終わりましたよ。それにしても爆破させるとは流石に事前に言ってほしいですよ。僕まで殺す気ですか?」
電話の相手に多少文句を言いつつも任務が終わった報告と次の約束の日時を聞き、バーボンは電話を切った。
どれぐらい車を走らせたのだろうか。
山奥にいたはずが、いつの間にかビルが密集する場所まで移動していた。
車窓から外を眺めている■■は、少し目を輝かせている。
『・・・凄い、綺麗・・・』
夜もかなり更けているというのに街に灯る光が夜を明るく照らしていた。
とあるマンションの駐車場に到着するとバーボンは■■に帽子をかぶせ、足早にエレベーターに乗り込んだ。
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