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2024しげの秀一原画展なんばマルイ | ナノ
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2024 しげの秀一原画展


行ってきました。しげの御大の原画展は私の知る限り、東京でしか開催されていないと思います。2014年に東京で行われたDオンリーは確か新劇場版の宣伝もあったようですが、原画はなかったかな。あと、私は行ってないのですが、新劇場版の宣伝の原画展に、MFゴーストが始まるのにTSUTAYAで原画展もあったらしいです。しかし今回は去年からですかね、その前一昨年?は東京のみでしたが、去年から全国を回ってくれて大阪は初じゃないかな。
順番はまず東京、新潟、福岡、大阪だったかな。しげの御大の原画、やっと見ることができました!



写真撮影ができる場所が限られていて、写真は少ないです。バリバリ伝説、頭文字D、MFゴーストと展示されています。



頭文字Dまではアナログなんですよね。





そして最初、バリ伝の原稿ですが、もう水彩の加減が懐かしく…。それと原稿ってこんなに小さかったのかあと思いました。
バリ伝は御大の漫画二作目で大ヒットしました。もうあの頃の熱気がまんま原稿に込められていますね。バイク人気もうなぎのぼり、当時のGPライダーが神がかった人ばかりでしたし、一般人どころか、芸能人もこぞってバイクにはまって、島田紳助とか映画まで作ったかな。鈴鹿8時間耐久レースも大人気、それらに有名人が出るとかもありましたね。
私も観に行きましたが、本当にレースは凄い。テグナーカーブあたりの金網に張り付いて、直ぐ目の前を色がぐちゃぐちゃになって一瞬で通過するんですよね。
なんでしょうね、バイクは青春って感じです。そして、御大の少女漫画に影響をうけた絵柄も繊細でとても懐かしかったです。
御大の特徴的な、効果音を表す漫画字、オノマトペは、バリ伝のヒデヨシの手前、国内レースあたりから特徴的になったかな。塵はけっこう前からあったような。まあ、バイクや車に塵はつきものですけどね。
原稿見てても、想像以上に線が細かったですね。印刷とは決定的に違う。今でも御大はけっこう描き込みますが、アナログを見ると本当に細い線があります。
余談ですが、しげの先生の一時期奥様だった少女漫画家の速水翼先生。2014年にご逝去されてますが、女性の描き方に関しては関わっていたらしいと聞きますが、具体的には全然わからず。絵柄も影響あるのかな。速水翼先生の漫画をちらっとしか知らないのでよくわからないのですが。ただ、グンの名前は速水翼先生の出身地巨摩郡から来てる、らしいですね。

全体的な展示では、バリ伝はグンが世界的レーサーになっていく要所要所を抑えていて、素晴らしかったと思います。歴史というか、揺るぎない成長録。バイクの描き方も熱い…。峠の走り屋からヒデヨシの悲劇を乗り越え、国内レーサー、そしてGPレーサーへ、好きなシーンがたくさん飾られていました。
まず、一ノ瀬みゆき、みいがスーパーカブでバイクをぶち抜く男の人がいたら(理想の男過ぎて)追いかけるってとこ、次のシーンでまさにのグン、笑いました。個人的にみいのが、ヒロインより好きなんで、本当その想い叶ったらよかったのにって思いました。まあ、アイちゃんも相当なオバカだけど一途だし、グンが世界に出てから一緒に行って頑張ってたしね。
そして、ヒデヨシとの出会い、悲劇。ここはもうバイク乗りのトラウマになりましたもんね。同じように現実でも友人や仲間も事故ったり、死んでいったり。でも、モーターサイクルにおいて切っても切れない部分ですもんね。ここを無視して無双ばかりなのも現実的じゃない。悲劇はいつも突然にやってきますから。だけどDでは全くこういうのを描かなかったのは、やはり後にアニメMFゴーストの雑誌のインタにあったように、バイクや車の事故を増やした漫画であったという自覚が御大にあったからかなとも思いました。
話は逸れましたが、GPレーサーになってからドイツのホッケンハイムサーキットの話とか好きでしたし、エディ・ローソンとか現役神レーサーの実名がバンバン出てくるの、すごく好きでした。この時のライバル、ラルフもイケメンですが、バイクをぶつけあっても譲らないイケメン同士意地とプライドの戦いは良かったですね。
そして、一枚、一コマ。私が泣いたシーンがあります。私の乗っていたバイクはグンのGPの時のNSR500の250CCです。グンが年間チャンピオンになって、最後まで戦った己の愛機のタンクを感謝を込めて触れた、あのシーンが涙ボロロロロロローーと出てしまいました。自分の愛機のタンクを思い出しましたね。

そして、次にイニDですが、第一話から。絵柄もしゅっとしてました。拓海、イツキ、ナツキのカラー原稿ですが、繊細でキレイな絵でした。水彩もカラーインク使ってる気もします。色味が鮮やかで。拓海、涼介もどんどん、骨格とかも細く華奢になっていきますが、啓介は後半になればなるほど男性ホルモン過多になってバッキバキの顔付きになっていきます。
展示された原稿は拓海の成長をメインにしているので、赤城の京涼バトルとかはなかったですが、京一VS拓海戦での、涼介と京一の睨み合いがあります。京涼の民としてはこれがメインです!!!
そして生原稿を初めて見た感想は

――――こんな表情だったんだ二人……!!!!!

MFゴーストの方にも行ってデジタル原画を見、あとスマホでも見比べ、線や印刷、デジタルにした線を見比べ、確認したんですが、生原稿で繊細に描かれた線のおかげか、それを縮小、印刷したせいか。違いがはっきりとわかります。
京一はさらに心情深く涼介を見つめ、涼介は無表情の奥に深いなにかを秘めた憂いというか、なんともいえない表情で。
御大、こんなに丁寧に描いたんだって。二人はこんなに強く繋がっていたって。先生はここまで丹念に二人を描いてたわけか…と唖然としました。
二人共、相手に対するのは単なる気に食わないヤツ、いけ好かないヤツの表情じゃない。二人共、小さな吹き出しで「……」は描いてあるんだけど、その意味が表情からもっと汲めることができる。
その無言の吹き出しに込められた、お互いに言いたいことは、反発でも反抗でもない、なにか。
京一の眼差しはただのリベンジじゃなく、もっと強く、温かいとまで感じるような確かなものだったと。
この絵を見れば、涼介のライバルは京一しかいないってわかる。対等で引き合い、むき出しでぶつかり合うものの、そうまでできるのは「信頼」があるから。このさじ加減とニュアンス、かなり難しいと思うのですが、私が惹かれた京涼の醍醐味が凝縮されていて、本当に生で線を見てよかったと思いました。
対等、好敵手、リスペクトからの認めあったうえでの全開の、二人だけの世界で戦える相手。自分の信念、哲学のすべてをさらけ出して戦える相手。御大が二人をそう描いた意味はとてつもなかったと、実感できました。
最近、私はXで「HOTLINEの京涼は普段っぽくて好き。クルマでぶつかる以外は案外穏やかな時間を二人で過ごしてそう」とよく呟いてましたが、この絵を見たら本当に実感できました。京涼、浅くない。深い。二人、すんなりと合う部分があるから、違いもぶつけられると。
大満足の生原稿でした。
あと、私も絵を描く端くれの端くれで比べるのもおこがましいミジンコですが、描いたキャラの表情がwebレベルに解像度を落とすと潰れたりってしょっちゅうです。
ましてや生原稿で印刷、縮小かけてるんですものね。そりゃあ仕方ないやと思います。それとアナログならではの、拡大できないから誤魔化す処理に目が行きます。クルマ、ホイールやタイヤの模様ですが、これ本当に御大は上手いですね。そして荷重の変化で傾いたクルマに向きが逆ハンになってるタイヤ。
このあたり、めちゃくちゃ上手いです。で、想像以上に線が細い。これは丸ペンでザリザリシャッシャッって描いてる音が聞こえるようです。

で、ガラスケースに御大のアナログセットは並べられていました。
雲形定規にスクリーントーン、チタンのかぶらペン、スプーンペン。そして錆びた丸ペン。Gペンは見なかったな,そう言えば。線、細いもんなあ。ロットリングペンもあったかな。御大のやる気がなくなったひとつ、生産終了になったずっと使ってた気に入ってたペン先はあったのかな。
絵の具はさくら水彩!!!これ、私もさくら水彩使いだったんでめっちゃ嬉しかったです。私も一番好きなさくら水彩の「肌色」がぴょこんと出てたのも。あの色はいろいろな色に混ぜると味が出るんですよね。スクリーントーンは本当に懐かしいレトラセットの748,1213, 1217, 51, 1218, 741,731が確認できました。メモを取るキモイオタBBAでしたね;;
Dの後半あたり、ピンクとか凄く鮮やかなんで、カラーインクもあるのかなとも思いますが。あの頃の印刷所は取り込んでCMYKという色分解で濁りが出るから、蛍光ピンクの処理をするらしいんですが、それがよくあった時期なのかな。今でも大手ならCMYKだと思うのですが。


さて、MFゴーストですがバリ伝とDで集中、この2つで一時間ちょっとは過ごしたんでもう疲れてしまって。ただ、完全デジタルのMFゴースト、デジタルから出力された原稿です。おそらくクリスタ使い。背景も写真を取り込んでトーン処理してる。ヤンマガwebで見ると、縦画面は物凄く拡大されます。ペンというより、アナログっぽい鉛筆のようなペンで太い線も何回も描いて太くしてる。同じように御大がおそらく影響を受けた少女漫画家惣領冬実先生は、アナログで全部のペン入れをミリペンでこなす。強弱も線の重ねで変化させているという。その手法を鉛筆っぽいペンでデジタルでしている気がします。相葉の髪なんかジャギジャギと鉛筆っぽいので適当に描いてるしw
そうそう、スクリーントーンも原稿に貼ってありますが、清次のアップのところ、ちょっと浮いてるんですよね。スクリーントーンは貼ってもこすらないと下の線が少し灰色っぽくなる。でも、白黒印刷ではそれでも全然色が出るのでこすらなくても大丈夫なんですが、浮いてる?っと思って体が自然にそのトーンを抑えようと動こうとしたのがw触っちゃだめです、私。
で、デジタルの線はアナログで見た線より太い。丸ペンのあの髪の毛より細い線がない。あの細い線は1pixより細いのかと。調べたところ600dpiの場合、1ピクセルは0.0423mmらしいですが、それより細い…?デジタルから出力したのは600dpiか、1200dpiだと思うのですが。アナログより線が太くなるのかなあ。もしかしたら先生のペン、グレーやアンチエイリアスをかけて描いてるかもしれませんけどね。

バリ伝とイニDは最終回を迎えた終わったお話ですが、MFゴーストはまだ続きます。そろそろ終わるのかなという展開ですけどね。
バリ伝とイニDに共通したテーマがあるので、MFゴーストもそれを継いで終わるのかなと思います。おそらく、そのテーマは御大のベースで人生の主軸なんでしょうね。はじめに帰る、御大はそういう終わり方をします。
バリ伝も最後にヒデヨシのことに触れてます。ここはもう、バリ伝ファンの心を代弁したかのような最高のエンディングでした。グンという天才ライダーという人間を愛しているからこそ先行するヒデヨシのことが出たんだと思います。
イニDはもう先生はクルマを描くのがこりごり状態だったのでアレですが、やはり主軸は失っていないですし、さらにこじらせた感もあります。公道最速理論、Dの意味等々。そして後のMFゴーストに繋がって行きますが、リョウ・タカハシの仕掛けたMFGは、EVにシフトする車世界に実質反発、復興イベントとは言えそこに主義主張を盛り込んでいます。グリップウエイトレシオとかの難しい話はいまいち私もわかりませんが、そこに御大のそれまでの主義を重ねると、バリ伝の頃から連綿とある、あの頃それが一番熱くかっこよかったこと。

「ワークスにアマが勝つ」

これなんですよね。グンが峠の1バイク乗りだったことも、一ノ瀬レーシングから飛び立ったことも。藤原とうふ店と書いた古いパンダトレノが奇跡のように速かったのも。多くのバイク乗りやクルマ好きが熱狂した信条で、プロになっても失わないソレ。グンも、トモさんもそう。MFゴーストでプロと判明した連中も皆同じく胸にそのスピリットを掲げている。
グリップウエイトレシオも非力なクルマが直線で負けても、コーナリングで有利になるようなものだと思うのですが。
公道最速理論自体が、大きな力に対して反骨精神満々で考えられたものですしね。京一はそこにラリー(公道最速)を持ち出しましたが、涼介はそこにラリーを持ち出さず、自分が到達できないモータースポーツの世界の高い技術を自分が伝説(レコード)を残す峠(公道)に特化したもので勝とうとしてきたんでしょうね。

大きなロマン、ですよね。TOPGUNマーヴェリックもですが、古いF14トムキャットで第5世代の最新鋭戦闘機と戦って無双する、男の大好きな夢でロマンです。
御大も凄くそういうのが好きそうですし、私も好きです。

少年漫画の熱血できるポイントをベースに、男女のアレコレは御大は少女漫画的です。ですから、女の子の方が二股や浮気気質で、それまでの作品見てもそういうのが多いですね。「トンネル抜けたら〜」とか、「ドッピーカン」とか。惣領冬実先生の当時の絵柄に影響を受けているとも思います。この2つの作品のヒロインは儚げなのに芯は強い、だけど複数の男性の間で揺れている女の子で、あとは体ごとぶつかってくるようなボブヘア―のナツキタイプ。アイちゃんは珍しいかな。ナツキが真面目になった感じですね。

さて、原画を見終わってグッズコーナーですが、複製原画に京涼はなく、あったらやばかった;それとミニカーで2つのクルマがセットになってる5000円くらいので京涼やトモ大あったらやばかった;しかし、Tシャツが売られてて、胸に藤原とうふ店と書かれたのは背中が啓介と拓海のバトルだったかな。レッドサンズのは後ろが京涼で、何回か呟いたり二次創作で私が書いてる、「赤城から日の昇る方向を見れば日光がある、京一に思いを馳せた涼介はそれでRedsuns(赤城と日光)と自分のチームに名付けた」というなんでも京涼に結びつけたトンデモ解釈を見事に証明したかのようなTシャツ、4000円のところマルイのエポスカード作成で3000円値引きでお得に買いました。
 
写真撮影ゾーンで、藤原とうふ店とハチロクと拓海のセットがありまして、カップルが楽しそうにしていたので、「お二人で撮影しましょうか?」と申し出、爽やかカップルを撮影しました。若い方も見に来られてるんだなあとしみじみ。



けっこう年配の方々、バリ伝ゾーンはずっと男性ばかりが凝視、イニDは女性も多かったですね。
次は名古屋ということで、名古屋のしげの御大ファンの方々、楽しんでくださいね。





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