半裸バトン・京一視点の涼介 | ナノ
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半裸バトン 京一視点の涼介


01 朝起きたら「半裸の涼介」が隣で寝てました、さてどうする?

 朝の光りに包まれた、何時になく幼い顔で眠るコイツは……どうやら夜中に合鍵で忍び込んだらしい。

……何故に上だけ脱いでるのか意味がわからんが……

 クスリと笑っちまった。

 白い、男にしちゃ華奢な指が、俺の寝間着を掴んでいて。
 頬に指の背を滑らせると、微かに微笑む。

 キスしてやろうと布団を捲くり、身を屈めるとパチリと黒い瞳が開いた。

02 そんな事をしていると「半裸の涼介」が目覚めた!どうする?

「……京……」

 ボンヤリと見つめる目に。片眉を上げて応える。

「……良い朝だな……」

 言われて、ちょっとすねたように赤らむ顔に。
 顎を捕えて軽いキスをした。

 軽く伏せた睫毛がふわりと上がり、潤みを増した瞳を見せる。
 朝日を受けて頬に落ちていた影も、夜を思わせる目に翳りを加えた。

「京一……もっとキス……」

 見蕩れている側から顔を傾け寄せてくる。涼介は本当に……キスが好きだ。
 軽く開けられた唇をかすかに触れさせ、吐息を交わらせると甘く溜息を吐く。
 舌を忍ばせると、待っていたかのように鼻を鳴らす。

 それがとても好きだ……と、しなる体が絡みつくように俺にすがりつく。

「……朝一から犯っちまうぞ……?」

 キスの合間に囁いてやると、身が震えた。
 背をしっかりと掻き抱き、ベッドへと組み敷こうとすると肩を押された。

「……したいんだがな……俺も……今はだめなんだ……」

 濡れた目を揺らめかせながら、そんなこと言いやがって、しかも。
 おい、その手はなんだ?

「……って、お前……」

 スウェットのふくらみを上下に擦る細いながらも男の手は、イイところを確実に選んで来る。

「……京一……こんなだ……凄いな……欲しい……」

「って、駄目なんだろうが? お前……一体何なんだ?」

 はっきり言えば。
 ここで涼介の口を唇でも指でも、モノでも突っ込んで塞いでしまって。
 欲を遂げてやろうかとも、一瞬思ったが……

「バトンなんだ、仕方がないが」

「はあ?」

 そう言って俺の頬にキスをして、ニヤリと蟲惑的に微笑んだ顔に俺は思いっきり怪訝で間抜けな声を上げた。


03 「半裸の涼介」に作ってあげたい料理は?

「と言う訳で、みじゅん様からのバトンで、俺は半裸らしい」

 俺は肘をテーブルにつけて頬杖ついて、少々片眉を上げた呆れた顔で。
 涼介のたんたんとした説明を、朝食をとりながら聞く。

 変わらず半裸姿でいる、俺の情欲どストライクな涼介の黒い綿パンツ姿はそそるが、1日その姿とは理性も緩む。

「……美味しい……好きなんだ、リゾットは」

 手早く適当に、昨夜のスープを使ったリゾットを作ってやると、まだ眠いのかやたら素直なさまで食べているが、見ていると歳より幼く感じる。


04 「半裸の涼介」とドライブ、何処に行く?

「おい、その格好でか?……」

 言い出せば聞かない涼介は、最近見つけた農道に行きたいと言う。
 景色も良好なら、真新しいアスファルトが気持ちがいいと。

 仕方なく、FCで行くと言う涼介のナビに乗り込んだ。

 農道は新しいだけに他に車もなく、涼介は半裸のまま運転を続けるが……
 ちらちらと俺が見ているのがわかっているのか、わからないのか……

 しなやかに綺麗な細い体は確かに筋肉質では無いが、それでもしっかりとした男の骨格に薄くついた筋肉を。
 ドライブするために動かすのを見るのはとても、目に愉しく……てなと。
 思っていたら、ああ……アノ時を思い出させるからか……と納得した。

 肌理の細かい白い肌は上気して、僅かに汗を浮かべて。
 黒髪を揺らして、熱い息を吐く。

 白い彗星―――――冷たき氷の奇跡だと? 誰が言ったんだ、こいつは誰より白く青い。
 恒星が、SUPER-NOVAが何より熱いように、青白く世界を灼く。

 それを知っている者は一体どれくらいいるのか?
 その身に、その心に触れた俺だけが知っている、こいつは俺だけに触れさせた。

 そんなことを考えていると突然、車内どころかすべての空気が変わった。
 二三度FCは揺すられ、走りが豹変した。

 凄まじい加速でコーナーに突っ込む。
 筋肉の薄い涼介の体が、発情したように汗が浮いた。

 それはセックスと同じく――――艶めいた黒髪は振られ、唇を赤くする。
 俺に貫かれて喘ぐ姿そのままじゃないか――――……走りもだが、コイツは何て……

 ドクリ……と。

 現実離れした美しい姿に、俺の体も熱くなった。
 今朝のあの色っぽい風情の涼介を抱けなかった、熱はまだまだ滾っている。
 形を成して行く血の集まりは、目の前でスピードに善がる存在を思うさま食らいたいと主張してきていた。
 そして、喉を鳴らしながら悲鳴のようなスキール音を上げて、FR特有の振られるようなドリフトにGを食らわされながら、片目を眇めて涼介を見た。

……奴は、そんな最中なのに、俺を見つめ囁いた。

「――――……抱いてくれ……それを俺に……」

 幻だったのか、シフトを操っていた細い手が、軍用パンツの布地を持ち上げる俺の熱に触れた。


05 「半裸の涼介」が貴方に歌ってくれるって。

 木々に隠れるように停められたFCで。互いの熱を狭いFCのドアを開けてまで与えあった後で。

 さっきまではのたうちながら、俺が舌先を立ててタッピングする乳首への愛撫に仰け反っていたのに。

 崩れ落ちるように、悲鳴を上げて両の乳首へと愛撫をせがんだのに。
 そして、淫らに黒の綿パンツを脱ぎ捨てて、足を開いて見せたのに。

 白い手が隠すように、それでも受け入れるところをチラチラと見せ付けて。
 俺がそれを取り出して扱き上げるのを、揺れる前髪の間から唇を濡らして見ていた。

 流石に……真昼間、誰が通るかわからない眩い日差しの中で。
 唇を重ね合わせて声を殺しながらするセックスは早急だった。

 FCの狭い車内というのも不便だった。
 俺は車外に涼介を連れ出し、FCに凭れさせて足を抱え上げて、まるでFCごと犯すように腰を打ち付けていたんだが。

「もっと……あッあッ……京一……突いて……」

 スピードに酔ったのか、あからさまに普段よりエロティックな涼介の喘ぎ混じりの台詞を耳に注ぎ込まれ

「……絞めやがって……涼介……そんなに悦いか……」

「ああ――――悦いッ……ああ……ッ……達く……ッ」

 それは俺の下肢を直撃し、速い律動を受けて悦びに達する涼介の射精を見送ると抜き出し放った。

 涼介の注文どおりに精液でFCのボディを汚し、それを朦朧とした目で見つめながらも艶然と微笑む。

「……FCまで……お前に……嬉しい……」

 そんな事をそんな顔で言いやがるから、下半身はまだまだ萎えなかった。

 そして、涼介は今はぐったりと俺に寄りかかり、甘えて額を擦り付けながら。
 熱っぽく俺を見つめてキスをせがんでいる。

 欲しがるその愛しさに、コイツの自覚の無い色っぽさが時には挑発的にさえ見えて、コイツの本当の寂しがり屋なところを人々から隠し、守っていたことを思い出す。
 今は……俺の腕の中で挑発も衒いもなく、素直に快楽の余韻に漂っていてそれがとても……。

「……涼介……」

「ん……」

「部屋へ戻ろう……もっと抱きてぇ、ゆっくりとな……可愛がってやる……」

「京一……」

「なんだ?」

「…………好きな歌がある」

 突然の言い出しに眉を上げながらも、涼介があまりに穏やかな顔でいるから、じっと聞いてやることにした。

 そして、どんな……と聞く前に、胸に響く知っているメロディ。

―――……I do what I do……私は、私がすることをする……私らしく……私はする……

 懐かしい映画「ナインハーフ」の曲だった。その歌詞もさることながら。

 語りに近い歌は涼介らしく、俺は瞼を閉じた。

 涼介は低い鼻にかかったような声で、つぶやくように歌っている。
 俺はそっと優しくも心地のいい音を奏でる背を撫で続け、二人でゆったりとした時間に包まれた。


06 貴方が「(風呂上がり)半裸の涼介」に何か一つだけしてあげられます。時間は5分。

 部屋に戻って情交の痕を風呂で流した涼介が。

 甘えるように胸に飛込んできて、こちらのTシャツまで濡れて。

 タオルで濡れた髪や体を拭き、包んでやると。

「気持ちがいい……」

と甘く囁くから。
 全く、俺もさっさとシャワーを浴びなきゃなと苦笑する。


07 「(風呂上がり)半裸の涼介」が貴方に何か一つしてくれます。
時間は5分。

 俺の服をもどかしげに、引っ張って脱がそうとするから。
 Tシャツを勢いつけて脱いだら、フワリと笑った。

 目が辿る、俺の肩から胸、そして腹へと。
 まだ穿いたままの軍パンのボタンを弾いて外した。

 ジッパーを下ろすと見つめていた目がこちらを向いた。
 そして胸を突ついて、潤んだ瞳で。

「……早く戻って来い……」

と悪戯っぽく舌なめずりをする。

「……ああ……ベッドで待ってな……」

と前髪にキスすると。

 浮かぶ微笑みは俺のかけがえの無い宝物、今朝見た幼い顔と同じ――――

 さっきまであんなに熱く乱れていながら。甘い息をついて、まだ欲しいと言う音さえ滲ませて。

 映画「ナインハーフ」のジョン・ティラーの曲、「I do what I do」を。

 俺に囁くように歌う。

 俺の体に跨って。

 揺らめく瞳は誘いながら。

 唇を寄せる。

 熱く息づく場所に

 こちらを見つめながら。




Pict

2007/09/11・改訂2009/3/12・UP2009/6/13


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