愛情過多な恋人たち


ロミオとジュリエットのロミオってぶっちゃけただのロリコンだよねぇ





愛情過多な恋人たち





最近、友人の上條麻衣子から本を借りました。

『黒薔薇恋愛狂詩曲-あの女誰なのよ!-』
ふざけたタイトルとは裏腹に、ティーン世代から絶大な支持を得ているケータイ小説らしく、ほとんどの女子高生が恋愛の聖書として読んでいるらしい。

私よりも先に麻衣子から借りて読んだ有希曰く、現代版ロミジュリ風で、ロミオにあたる主人公の彼氏は浮気性、ジュリエットにあたる主人公はヤンデレな感じらしい。

……そんな恐ろしい話を恋愛の聖書にするなんて、そんな女子高生が増えたら世の中にヤンデレが溢れかえってしまうんじゃなかろうか。
と、思いつつも麻衣子から借りて読んでいるのだが、ダメだ。これ。

別に話がダメ、とかケータイ小説自体がダメ、とかじゃなくて

細かい字読めない。
疲れる。
私、読書自体ができないわ。

二、三行読んだだけで挫折を感じた私は、早々に『黒薔薇恋愛狂詩曲』を机にしまって、ぼーっと窓の外をふわふわと漂っているうさぎの霊を眺めて時間を潰していた。
多分あのうさぎ、2週間前に死んじゃったらしい田中くんのペットだな。
ずっと田中くんの方見てる。

ちなみに、こんな適当な時間の過ごし方をしているが、今は歴とした授業中である。


じっと田中くんのうさぎ(の霊)を見てて気付いたけど、うさぎは今にも泣き出しそうな目で田中くんを見ていた。
なるほど、田中くんがいなくて寂しいのね。
そう合点して哀れみを含んだ目でその子を見ていたが、果たして放っておいて良いのものか、


霊は、ずっと成仏できなければ悪霊になってしまう。
例えどんな理由があろうとも、悪霊になってしまえば生者に害をなすバケモノと化す。
祓っちゃえば楽だけど、曲がりなりにも今は授業中。
だから、話し掛けて早く成仏を促した方が良いんだけど……

(私には耳通神能力がないからなぁ……)


あの子みたいな低級霊と生者は話をすることはできない。
ある程度高級な霊になれば話せるんだけどね。

だけどそんな低級霊と話をできる能力がある。

それが耳通神能力。

かなり霊感の研ぎ澄まされた人じゃなきゃ持ってない、結構稀な能力だ。

皆さんご推察の通り、うちの一門でこの稀有な能力を持ってるのは一馬だけ。

しかし残念なことに私と一馬は学校違うからなぁ

その上、うちのクラスに居る調伏師の奴らは……


「梨子やべえ!オレ、記録更新しそう!」


私の斜め前でケータイでゲームをしているオレンジがかった茶髪。
神宮一門の陰陽師、若菜結人。


「梨子…キリンの角が…」

私の後ろで堂々と寝ている万年ねぼすけ男、
東海の横山一門の跡取り息子、陰陽師の横山平馬。(てか何の夢見てんの!?)


「梨子、見てみ!傑作やけん!」

私の斜め後ろ、平馬の横で教科書に落書きをして一人で笑っているバカ、
九州の高山一門の跡取り息子、陰陽師の高山昭栄(そういや陰陽師率高いな…)

念のためもう一度確認しておくが、それぞれが思い思いのことをしていたとしても今は授業中である。


(あ、うさちゃんがすごい悲壮に満ちた目してる)

早く助けてやりたいけど、誰も耳通神持ってないし、(てゆーかみんな鈍感バカばっかだし)

どうしようか、そう本格的に考え始めた時だった。

「?」

ヴーッと、私のケータイのバイブが鳴り響いたのは。


「梨子、ケータイ鳴ってんぞ」

「あ、うん」

結人に急かされて受信ボックスを開くとそこにはー……


「!!」


送信者名には、衝撃的かつ絶望的な名前がはっきりと映し出されていた。

はっきりきっぱり、拒否する隙さえも与えず、

『西園寺 玲』と―




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