The secret was revealed
放課後。誰もいない屋上。
私は人知れず歌を紡ぐ。
音楽がすき。歌うことがすき。誰に聞かせるでもない、ただ、すきだから。自分のために歌う。
これが私の日課。
ただその日はいつもと少し違っていて。あの動画のことがあったからか、動揺していたらしく。
気がつかなかった。
「今の歌……おまえさん、じゃよな」
「……え?」
ふいに声をかけられた方を見ると屋上の入り口に1人の男が立っていた。銀髪で、背が高くて、とても整った容姿の。知ってる。有名だから。仁王先輩。テニス部のレギュラーでいつも派手な女の人たちに囲まれている……色々な意味で有名な人。
いや、そんなことは今はどうでもいい。相手が誰だろうと関係ない、見られてしまったんだから。
「あ、あの!これはその、」
「おまえさん何者じゃ?素人……にしては上手すぎんか」
アタフタと慌てふためく私を他所にツカツカと歩み寄ってくる仁王先輩。
「素人です、ただの、はい、ただの趣味です」
「ふーん。まぁええ」
そう言って仁王先輩はドカリ、と壁に腰掛けて座った。
「え?」
「続き、歌わんの?」
はい?
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