お久しぶりです(1/4)
今日は始業式。私は親友の伊織と共に掲示板に張り出されたクラス表を見に来ていた。
人混みに押されながらもA組から順番に見ていくとB組に自分の名前を見つけた。
「私Bだった。伊織は？」
「あら離れたわね、あたしはCだわ」
「え、嫌だ」
「嫌がっても結果は変わらないわよ」
「でーもーいーやーだー！」
今までもクラスが離れることはあったけど、去年同じクラスだっただけあって……かなりショック！！
「そんな顔しないの」
「あいたっ」
ふてくされていたらデコピンされた。普通に痛い涙出る。
「伊織のばかぁ！」
「……それにしても騒がしいわね」
「無視は酷い」
私の渾身の睨みをスルーして、伊織は周りの騒がしさに鬱陶しそうな顔をしていた。私も顔をしかめる。
まあ、本当に騒がしい。テニス部の誰々くんと同じクラスだ、離れてしまったそんな声があちらこちらから。
はい、騒ぎの元凶はテニス部ですよ。
うちの学校の男子テニス部はどこぞのアイドルグループかってくらい人気がある。
まあ確かにイケメン集団だと思うけど、そんなクラス替えごときで一喜一憂しなくても良くない？私が言える事じゃないけど。
「うらやましいわね、年中脳内お花畑で」
「伊織ちゃんそれは褒め言葉じゃないよね」
「当たり前でしょ？」
綺麗な顔でさらりと毒を吐く伊織。
いやいや私達の周りの女子引いちゃってるから、物理的にも。言ったのが伊織（スーパー美人）じゃなければいじめられるやつだ。
「でもそんな伊織も好き」
「はいはいありがとう」
「冷たい、いつものことだけど……」
「そういえば、鈴はテニス部と同じクラスになりたくなかったわよね」
「あ」
そうだった。伊織と離れたのがショックすぎてちょっと自分でも忘れかけてたけど。
「忘れてたの？」
「うん、まあ、最近油断していたというか」
そう、私にはテニス部と同じクラスになりたくない理由があるのだ。
B組女子の皆さんには申し分けないけど、同じクラスに男子テニス部がいないことを願ってもう一度クラス表を見た。
最悪魔王と同じじゃなければいいかな。
「……」
結果、最悪ではなかった。けど、最悪には近い。
「私帰る」
「駄目よいい加減諦めなさい」
「でもおおお！」
「うるさいなあ。もう始業式始まるわよ」
そう言ってスタスタと歩いて行く伊織。
「まってよ伊織ー！」
「嫌よ」
「冷たい！」
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