可愛い後輩のあり方
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「鈴せんぱぁい助けてくださいっス〜」


コートの後ろの屋根付きのベンチでスコアをとっていた私の元に、びっしょりと汗をかいた赤也くんが若干フラフラとした足取りでやってきた。


「お疲れさま〜。はい、タオルとドリンク」
「ありがとございますっス。鈴先輩見てました!?真田ふくぶちょー相変わらず鬼っスね」


そう言ってゴクゴクと勢いよくドリンクを飲む赤也くんに苦笑いする。うん、めちゃくちゃスパルタだったね真田くん。なんせ今週一週間は練習量2倍だそうで、かわいそうだけど幸村くんが決めたことだからこればかりは仕方ないのだ。

ま、さすがに可哀想なくらいだったけどね!


「ちょっと休憩する?頑張りすぎて倒れたら意味ないからね」
「まじっスか!?じゃあ遠慮なく〜」


隣に座った赤也くんはあちー、と言ってポロシャツの襟をパタパタさせている。本当にすごい汗だなー。


「赤也くんここ、垂れてる」


こめかみ辺りをタオルで拭ってあげる。


「ん?ああ、すんませんっ。鈴先輩はやっぱ優しいっスね〜」
「赤也くんはやっぱり可愛いね〜。あの子も赤也くんくらい可愛げがあればいいのに」
「あいつっスか?それ聞いたらブチギレそうっスね」
「確かに。ナイショね?」


赤也くんと同い年の従兄弟が青筋を浮かべて怒る姿を思い浮かべて苦笑いした。小さい頃はお姉ちゃんお姉ちゃんって慕ってくれて可愛かったのに、最近はめっきり反抗期でツンツンしちゃってんのよね。


「でもあいつめちゃくちゃ鈴先輩のこと好きっスよ。ツンデレなんスツンデレ!」
「え〜そうかな?デレてくれないけどなぁ」
「新年の挨拶メール送ったんスけど……返事が鈴先輩とのツーショット写真だったんスよ〜!!」
「……あんなに撮るの嫌がってたのに。可愛いやつめ」
「あっ、これ俺が言ったってナイショっスよ?っと、そろそろ戻らねぇとっスね」
「そうだね、無理しすぎちゃだめだよー。休憩大事!」
「はいっス!」


そう言って元気にコートに戻っていった赤也くん。少し喋りすぎたかもしれない、真田くんに怒られないと良いけど。

あ、やばい最後の点数どっちが取ったか見落とした。


「ごめーん仁王くんー!!最後どっちが取ったー!?」


目の前のコートでゲーム形式の練習をしていた仁王くんにそう聞くと、少し不機嫌そうな顔で自分を指さした。


ん、不機嫌?仁王くんも休憩したいのだろうか。



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