平和が一番
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思わず耳を疑った。


「むしろ今はみんなの力になれて嬉しいと言うか……」


そう言った鈴の顔は少し赤くなってて。

……照れてる。クソ可愛いんだけど!



じゃなくて、俺らの事もマネージャーの仕事も嫌じゃないならどうして断ってたのか。少し心当たりはあるんだけどよ。


「じゃあ、なんで断ってたんだよぃ?」
「あー……」


困ったように目を泳がせる鈴に、もう一度何でだよ?と聞くと、小さく溜息をついて口を開いた。


「今までのマネージャーって、ファンクラブの子たちせいで辞めてるんでしょ?……私もそうなると思ってびびってました」


えへへ、と笑う鈴。

まあ……そうだよな、と思った。


鈴の言う通り、今までのマネージャーは全員ファンクラブに嫌がらせされて辞めてる。そのことは噂になっていたし、鈴が知っていてもおかしくはない。

じゃあどうして俺たちは嫌がらせを辞めさせなかったのか。

それは、そのマネージャーも人手不足で先輩が仕方なく採用したようなミーハー女だったから、嫌がらせされようがなんだろうが俺たちはなんとも思わなかった……最低だよな。


でも鈴は違う。俺たちが本気でマネージャーになって欲しいと思ってたし、仕事だって真面目にやってくれる。勿論ミーハーなんかじゃねえ。


「鈴の事は絶対守るからさ」


親衛隊が鈴を守っているのは知ってるけど、俺たちだって鈴を守りたい。いや……危険な目に遭わせてるのも俺等なんだけどよ。ずっとマネージャーでいて欲しいし。

そう言うと、目をぱちぱちさせて驚いた鈴。


「どうした?」
「や、嬉しいこと言ってくれるなあと思いまして」
「俺たちがお願いしてんだから当たり前だろぃ」
「そうだけどさ〜。まあ、今のとこ嫌がらせとかないし大丈夫だと思う!」
「今んとこって……マネージャーになって何日だよ」
「5日だね」


それじゃ判断できねえだろぃ。

と俺が言うと、鈴は5日が濃すぎて、と笑った。


確かに……朝練も夕練もあるし休日練習も入ったからな。


「私臨時マネージャーなんだけど」
「それ、建前だから」
「……知ってる」


そう言って溜息をついた鈴。幸村くん曰く、ああ(臨時で良いからと)言えば鈴は断らないから、だと。その通りだったんだけどよ、ちょっと可哀想だったよな。

まあ、俺も鈴にマネージャーして欲しかったしなんも言わなかったけど!


そんなことを思っていると、何か思い出したように手を叩いた鈴。


「ん?」
「明日入学式じゃん!」


あ。そうだった。


「そうだな〜、あの赤也もついに高校生かよぃ」
「そうそう赤也くん!懐かしいなあ」
「俺もしばらく会ってねえや」
「赤也くん部活来てないもんね?他の一年生は何人かいるけど」
「あー……」


鈴の言う通り、春休みから部活に来てる一年もいるが赤也は来ていなかった。それは理由があって……。


春休み前に幸村くんに言われていた。


「春休みの課題が終わるまで練習には参加させないんだと」
「あっ、」


察したらしい。



まったく、課題くらい早く終わらせろよな馬鹿赤也。


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