平和が一番
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* * *


結局午後の授業に行かなかった俺と鈴は、場所を変えて体育館裏に来ていた。

流石に教室だと教師に見つかるし……ここはこの時間だと日陰だし、人通りも無いからサボりにはうってつけだ。



「なあ鈴」


隣で俺の作ったお菓子を幸せそうに食べている鈴に声をかけると、鈴は小さく首を傾げてなに?と言った。


「こうやって二人きりになるの凄え久しぶりじゃね?」
「おお!そうだね!昔同じクラスだった時は良くあったよね」
「中二の時な!」
「そうそう!あのときもしょっちゅうサボって……伊織に怒られたんだった」


そう言うと苦笑いした鈴。そういえば俺も幸村くんに怒られたな。

俺と鈴は中学二年の時同じクラスで、今みたいに俺の作ったお菓子を食べながらサボることがよくあった。

それがバレて怒られたってわけ。


「丸井くんのお菓子も久しぶりだなあ」


そう、もぐもぐとお菓子を頬張りながら言う鈴は小動物みたいだ。


「美味い?」
「凄く美味しい」
「そっかそっか。遠慮しねぇでどんどん食えよ」


鈴に喜んで欲しくて作ってきたからな。

ニコニコと笑う鈴が可愛くて、気づいたら頭を撫でていた。ふわふわした見た目通りの触り心地だ。

まじで癒し系だよなあ。仁王なんかもよくやるけど、撫でたくなるわこれは。



「そういえばさぁ、マネージャー無理やりやらせちまってゴメンな」
「え、今更?」
「おう。鈴は嫌がってたのにさ……まあ俺たちのマネージャーなんて大変でしかないもんな」


嫌がってるのに無理矢理頼み込むような事したからな。まあ、それだけ鈴にマネージャーして欲しかったって事だけどよ。

鈴の顔を見てもう一度ゴメンな、と言うと、鈴は少し困ったような顔をして下を向いてしまった。


「鈴?」
「……別にみんなのことが嫌で断ってたわけじゃないからね」
「え」



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