マネージャーのお仕事
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「ふー、お腹いっぱい」


私の歓迎会ということでお代は皆んなが払ってくれた。とってもありがたい。ありがたかったんだけど。


『良いんだよ、鈴にはこれから頑張って貰わないといけないからね』


ニコニコ笑顔でそう言う幸村くんの圧が物凄かった。いや、ここまでして貰ったし流石に頑張りますけどね。一度やると決めたことはやりますよ私は。

そう思いを込めて、改めてよろしくお願いしますの挨拶をしてみんなとは別れた。

1人を除いて。


「仁王くん家こっちなの?」


みんなそれぞれ電車とか自転車で帰る中仁王くんだけは私の隣を歩いて来たものだから疑問に思ってそう聞いてみた。

私の家は学校から徒歩15分くらいのところにある。ただ駅方面ではない為通学路が同じ人はあんまり見かけなかった。伊織とは家も近いんだけどね。


「俺んち、あれ」


そう言って仁王くんが指さしたのはまだ少し遠くの方に見えるマンション。

ん?あのマンションって。


「え、うちめちゃくちゃ近いじゃん」
「まあ俺んちから植原の家見えるしのう」
「うわー見えるんだ。いつから住んでるの?」
「高等部上がってから。いつでも遊びに来んしゃい、1人じゃし」
「一人暮らし!?大丈夫なの、その色々」


高校生で一人暮らしって絶対大変だし仁王くんだし。びっくりしてそちらを見上げると仁王くんはニヤニヤと笑っていた。


「意外と大丈夫じゃよ。仁王くんはこう見えてちゃんと生活能力あるんですよ植原サン」
「………正直見えないです」
「酷いナリ」


チャラチャラしてるだけかと思っててごめん仁王くん。ちょっと見直したよ。






そんな話をしているといつのまにか家の前まで来ていた。ちなみにうちは素朴な一軒家です。


「じゃあ仁王くん、うちここだから」
「おー、そうじゃの」
「うん、また明日ね!」
「プリ」

バイバイと手を振ると仁王くんは軽く手を挙げて、自宅の方へと歩いて行った。

………まぁ、うちが近いから何だろうけど、家の前まで送ってくれたんだよね。一つ前の交差点曲がってた方が近道だしね。やっぱりチャラチャラしてるだけじゃないんだ仁王くん(何だと思ってるんだ)





あれ。


「でも何で私の家知ってるんだっけ?」


教えた覚えはない。けど、うん、テニス部にはデータマンがいるんだもん。知っててもおかしくないよね。

そう自己完結させることにした。



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