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ゴゴゴゴゴゴゴ…



「ん……うるさ、…………………ん、どこ?」

激しい揺れと騒音で目を覚ますと、知らない部屋の知らないベッドに寝ていた。体を起こしキョロキョロと辺りを見渡すがやっぱり知らない部屋で。確か、小猿に何か変な実を食べさせられて、その実が不味すぎて気を失ったんだ。

あのクソ猿最後笑ってやがったからな、絶対許さん。



それにしても。


「舵切って急いで!!食べられちゃう!!」
「だ……だめだ!!!まっすぐ進む!!そうだろルフィ!?」
「うん、もちろんだ」
「バカ言わないで!!」


揺れも急激に激しくなっているし、何より開け放されている部屋の扉の外がめちゃくちゃ騒がしい。飛び交う言葉も食べられるとか意味がわからなくて物騒だ。



恐る恐る開いている扉に向かう。


「………………は」



外に出る前に見えてしまった。ありえないものが。にわかには信じがたいものが。



「えええええええ!?っえなにあれ何あの怪物えにこれ、ここ船の上!?」



ギョロ目の大きな大きな魚の怪物が、口を開けて船を飲み込もうとしているところだった。自分が乗っている船を、だ。なんの冗談だ。何かのアトラクション?それとも夢を見ているの?

状況を飲み込めず立ち尽くしていると、扉の外立っていた緑頭の男が私に気づいたらしく声をかけてきた。


「お、起きたのか。どうだ気分は?」


どなたかは存じませんが、どういう状況かもわかっておりませんが、最悪の気分とだけお伝えします。

だってもう食べられちゃったから。怪物の口の中だから。


「まっすぐ!!まっすぐ!!」


麦わら帽子の男の子がそう叫んでいる。まっすぐ…行ったら胃の中じゃん!?


「ちょ、ちょっとこれどういう事っ、どうすればっ」
「ッ……!!まあ落ち着け、掴まってろ」


隣にいた男をガタガタと揺さぶると、一瞬驚いたように身をひいたが自分の腕に掴まるように促してくれた。なんかよく分からないがありがたいと思い、男の腕にしがみついたその時。



ドゴオオオオオオオオオオオン!!



激しい揺れと衝撃を感じたとほぼ同時に視界が明るくなり、船が宙に投げ出されていた。


「うーっほーっ!!!!飛び出たーっ!!」


まもなく船は無事着水したが、私は緑頭に支えられながら呆然とすることしか出来なかった。


「あっ!目が覚めたんだね麗しのレディ!おいクソマリモどさくさに紛れてくっついてんじゃねェ離れやがれ!!」
「あァ!?この女が離さねんだよあり得ねェ馬鹿力だこいつ」
「んなわけねェだろこんな可憐なレディだぞ!!」


緑頭と黄色頭のスーツの男が何やら言い争っているが何も頭に入ってこない。とにかく今起きたことを整理するので精一杯だった。

いや……どれだけ考えても理解できないんだけど。



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