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* * *


「おいクソマリモお前レディになんて事してやがんだ!!」


サンジくんが永久指針を手に入れてくれたおかげでログを待たずに良くなった私たちは直ぐにでも出航する為に船に戻って来たわけだけど、そこでまた問題が発生してしまった。
ゾロが「気を失った女を拾った」なんて言い出して、実際今私たちの前に、ツタで縛られた意識のない女の子が横たわっている。

確かに敵かもしれないけど、これは流石に可哀想ね。


「意識も無いんだし……解いてあげましょう、傷が付いちゃう」

「ビビの言う通り。これはあんまりだわ」


軽蔑の視線をゾロに向ける。


「あァ!?敵かもしれねェんだぞ、置いてこなかっただけマシだろ」
「そうね、確かにあんなジャングルの中で倒れてるなんておかしいわ敵かもしれない。うん、置いてこなかった事は褒めてあげる。ウソップ、解くの手伝って」
「おれが手伝うよナミすぁん!」
「サンジくんはお肉必要な分だけ乗せててくれる?」
「ンンン了解!!」


そう言ってサンジくんはくるくる回りながら狩った獲物の元へと向かっていった。あんなデカいの二体も乗せれないもの。


「お、おう……でもよ、こいつ自身がBWの可能性ってのはねェのか?目え覚ましていきなり暴れたりとかしたらどうすんだよ」


恐る恐る近寄ってツタをナイフで切っていくウソップ。同じくツタを解いているビビがうーんと首を捻った。


「私は見たことがない顔だから……少なくともオフィサーエージェントでは無いわ。なんらかの理由であいつらに連れ去られた可能性が一番高いと思うんだけど」
「そうね……だとしたら」


チラリ、と側で様子を伺っていたこの船の主である麦わら帽子に視線を向けると、その人はにやにやと良くない笑みを浮かべていて私の背筋が凍った。


「……連れて行ったらBWに狙われる可能性が増えるかもしれないわ。どうする船長?」
「連れていく!きっと腹減って倒れてんだ、起きたら肉食わせてやろう!」
「いやそうとも限らねェだろ?」


あっけらかんと答えるルフィに頭を抱える。まぁ分かっていたんだけどね。


「そうね、あんたならそう言うと思ったわ。そういうことだからゾロ、とりあえず女子部屋運んで」
「なんで俺だよ」
「あんたが連れてきたんでしょうが!最後まで責任持ちなさいよ」
「おれが運ぶよナミすあ〜ん!」
「サンジくんは指一本触れちゃダメよ。ビビも様子見てきてくれる?船が安定したら私も行くわ」


船長が連れて行くと決めた以上絶対に意見は曲がらないんだから、今は出航することだけを考えないといけない。航海士である私に皆んなの命がかかっているんだから。


「そういうことだから、後はあの子が目を覚ましてからよ。先を急がなきゃ!」



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