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ズキズキと鈍く頭が痛む。


身体を動かそうと力を入れるが、全身が鉛の様に重く指先を動かすのが精一杯だ。

直ぐ近くで水の流れる様な音が聴こえ、遠くの方でギャアギャアと獣なのか鳥なのか分からないが鳴き声のようなものが聴こえる。それに低い唸り声も。

恐る恐る重たい瞼を開くと、その目に映ったのは緑に生い茂った木々の隙間から少しだけ覗く青空だった。目線だけを動かすが見える景色は変わらない。辺り一面緑。



多分、恐らくだが私はジャングルの様な所で倒れている。何が起きているのか全く理解出来ないがどうやら生きてはいるらしい。あの男に刺されたあの時、私は確かに死んだはずだ。今はどう言うことか腹部の痛みを全く感じないが、あの時の感覚は現実だったはずなのに。


うん……どこ、ここ。全く分からん。


とりあえず生きてたのはラッキーだと喜ぶべきかも知れない。しかし多分、このままだったらどっちにせよ死ぬ。もしここが本当にジャングルだとしたら?人が住んでいる村なりなんなりがあるのか、そもそも私以外の人が存在するのかも怪しい。

でもまだ希望は捨てていない。近くに建物とかあるかも知れないし?


「……ッ」


ズキズキと全身が筋肉痛の様に痛む身体を無理やり起こす。めちゃくちゃ痛い。手足もげそうなくらい痛い。やっとの思いで上半身を起こすと、そこに広がっていたのは信じられない光景だった。

信じられない、というよりは信じたくない、と言った方がいいかも知れない。


「……………………………………おーまいがー」


辺り一面見渡す限りの緑、大自然、まさにジャングル。もちろん民家や建物の様なものは見当たらない。いくら遠くに目を凝らしても見えるのは緑ばかり。幸い近くに湖らしきものがあるから水分には困らないかも知れない、なんてそんなことは気休めにしかならないけど。







改めて今の状況を整理してみようと思う。

バイト帰りにストカーに刺されて死んだと思ったら生きていて、このジャングルの様なところに倒れていた。服装はあの夜と同じ黒いワンピースとスニーカー。持ち物は何もない。そして何故か腹部の傷も無い。

……頭では分かってるんだけどやっぱり意味が分からない。







もしかしたら何処かに誰かがいるかも知れない。しかし探すにしても痛む身体を動かして歩き回るのは得策とは言えないだろう。


「筋肉痛を治すにはセルフマッサージや筋膜リリースなどで筋走行を正常化……痛みのない範囲で動かすのがいい……んだけど、」


試しに立ち上がろうと試みてみるが、上半身を起こすだけでもやっとだったのだ。とてもじゃ無いが無理だった。少しずつ慣れて行った方が良さそうだ。


「はぁ…………………………これ、どーしよ」



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