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悪魔の実の能力のお陰で憎き小猿との意思疎通が出来る様になってしまった私は、思惑を洗いざらい吐いてもらうべくその小猿を尋問していた。
「うん、何となく話は分かった」
小猿曰く、自分が小さい頃に亡くなった親猿からあの実を預かったらしく、これを良い人間に食べさせれば仲間ができるかもと言われたらしい。それで、たまたまあのジャングルにいた私が優しそうな人間だったから渡した、という流れらしい。
いやいや、私が悪い人間だったらどうしてたんだ。
「まぁ、そうだね。あの不味さには正直イラッとしたけど……君も大変だったんだね」
「ウキウキ……ウキッ?」
「何、仲間になってくれるのかって?」
「ウキッ」
小猿はキラキラとした目で此方を見ている。正直、ここまでついてきて今更何言ってんだって感じだ。それに私よりルフィくんと仲良くなってたしね。
でも、私的には、だ。
「私ね……この世界に来たばっかりで友達が居ないの。だから君と友達になりたいと思ってるんだけど、どう?」
そう尋ねると、小猿は激しく頷いて甲板でピョンピョンと跳ね回り始めた。
「ウキ、ウキッ!ウキッ!」
嬉しいらしい。ちょっと可愛いじゃないか。
「そうと決まれば、君の名前を考えなきゃね。あ……名前、あったりする?」
「ウキ」
「そっか。じゃあ、私が決めても良い?」
「ウキッ!」
「よし」
とは言ったものの名前を付けたことなんてないからどう考えれば良いのか分からない。かなり責任重いしね。
「ちなみに君って、男の子?女の子?」
「ウキー」
「女の子なのね。女の子か……うーん」
「ウキキッ」
「何でも嬉しい?可愛いこと言うじゃん」
何でも嬉しいと言われても困っちゃうなあ。うーん、と頭を抱えて考える。
あ、そうだ。
「…………リリー、なんてどう?」
私の1番好きな花の英訳だ。安直かもしれないけれど、不思議とこれがしっくりきた。
「ウキ、ウキウキッ、ウキッ!!」
またしても跳ね回る小猿さん。嬉しいらしい、良かった。
「じゃあ、リリーさん」
「!!ッウキ!」
「改めてよろしくね」
そう言って手を差し出すと、小さな友達はその小さな手で私の指をぎゅっと握った。
「よーし、みんなに紹介しに行くぞー」
「ウキー!」
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