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それから私はナミ(呼び捨て強制された)とビビにこの世界のこと、麦わらのみんなのこと、これからの目的などを簡単に教えてもらった。

ビビはアラバスタという国の王女で、クロコダイルという海賊から国を守る為に帰らなければいけないが、命を狙われている為麦わらの一味はそれを護衛しているらしい。

前世は善良な市民で一般ピープルな私にとっては何もかもが信じ難いことばかりだが、この世界が死と隣り合わせでかなーり危険だということが分かった。ナミ曰く海賊なんて9割が過激で、この船に拾われた私はめちゃくちゃ運が良かったらしい。

うん、本当にそう思う。たった数時間の付き合いだけどこの人達絶対良い人だもん。


「ごめんなさいユリさん。私のせいであなたまで危険な目に合わせてしまう」
「大丈夫よビビ、あいつらが何とかしてくれるから。ね、ユリ」


申し訳なさそうに俯くビビの肩を叩いて、ナミは甲板で釣りをしているルフィくん達を指さした。ビビはそう言うけど正直な話、あのジャングルに置き去りにされるよりここでみんなといる方が安全な気がしている。何となくだけど。


「うん、私ぜんぜん戦えないし。戦えるようになれたらいいんだけどね、現状傷の手当てくらいしか役に立てないかも」
「なにあんた、医者なの?」
「違うよ、看護師の勉強してただけ。あー、えっと……看護師ってのはナースのことなんだけど」


もしかしたら看護師とは言わないのかななんて思ってナースと言ってみたが……なんかちょっとナースっていうの恥ずかしいわ。


「ええっ、凄いじゃない!この船の男どもすぐ怪我するんだけど知識ないし適当に手当するでしょ?正確な処置が出来ると助かるわ〜!」
「そうよユリさん!とっても心強いわ!」


2人ははそう言ってめちゃくちゃ褒めてくれた。一応ね資格はとったけど実践経験なんて無いし絶対役に立たないんだけどね?そう言ってもらえるだけで嬉しい。ありがとう2人とも可愛い大好き。

でも、だ。少しだけでも役に立てるからってどうにもならないこともあるわけで。


「でもね2人とも。これから相手にするのって能力者?とかいうめちゃくちゃ強い化け物みたいな人なんだよね。いくらルフィくんたちが強くても、最低限自分の身は自分で守れるようになりたいなって思うの」
「あんた偉いわね。確かに敵は悪魔の実の能力者…………ねえ私ちょっと気になることがあるんだけど」


少しでもやる気を伝えようと両手を握ってファインディングポーズをとっていた私の頭をよしよしと撫でたナミだったが、急に手をとめて私の目をじっと見つめてきた。


「どうしたのナミさん?」
「ユリがリトルガーデンで食べた不味い果物って悪魔の実なんじゃない?身体の変化とか無いの?」
「え?……ええ、今のところ何もないというか。うん、全然」
「その実の特徴覚えてる?ちょっと図鑑持ってくるわ」


そう言って船内に歩いて行ったナミ。あの果物が悪魔の実?確かに変な柄だったし変に禍々しかったしめちゃくちゃ不味かったけど。

しかしさっきも言った通り本当に何も変化を感じられないのだ。恐る恐るビビに視線を送る。


「……変な模様とかあったんだけどやっぱり悪魔の実なのかな?」
「ええ、確実に」
「やっぱりかぁぁぁ」


がくり、と肩を落とす。だって何の能力かも分かんないし海に嫌われるっていうし何より名前が物騒だし。

せめて役に立つ能力であってくれ。そう願い天に向かって両手を合わせたその時。


「なあおい」
「うん?」


ぽんぽん、と肩を叩かれて振り向くと。


「この猿おまえのペットか?」


ゾロくん、と
 

「ウキッ!!ウキウキ!!」


忘れもしない。憎き憎き小猿がゾロくんの肩に乗っていた。

なんでこんなとこにいるのか。というか……いや、まさかそんなのありえない。いやいや。


「あなた今、私のこと……ご主人様って言わなかった?」
「ウキッ!」


やっぱり。何てこったどういう事だ。明らかにウキッ、としか発声していない筈なのにどうしてか……このサルの言っていることが分かってしまうのだ。


「もしかして……これが悪魔の実の力……?」




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