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昔々、とある島に1人の女の子がいました。女の子は小さな島の小さな村で大好きなお父さんとお母さんと幸せに暮らしていました。



ある日、いつものように女の子が家で遊んでいると突然港の方から村人の叫ぶ声が聞こえてきました。


『海賊だァ!!!!!!逃げろォ!!!!!!!』


女の子は海賊、というものを知りませんでした。何が起きているのかも分からないまま母に連れられ家を飛びでた女の子の視界に村が赤く染まっていくのが見えていました。




女の子のお母さんは持病を患っていました。

どれくらい逃げたか分かりません、やがてお母さんは走る力を無くしてしまいました。


『……あなたは先に逃げなさい』

『や、やだ!おかあさんも一緒に』

『行きなさい!!!!!はやく!!!!!』

『ッ…!!』


言われるがまま女の子は走りました。走って、走って、走って。そして村を見渡せる高台から女の子が見たのは赤い赤い火の海でした。



女の子は無我夢中で来た道を戻りました。

村があったはずの場所に向かって走りました。大好きなお母さんとお父さんが居るはずの場所に向かって走りました。



息も絶え絶え、女の子がその場にたどり着いたとき目にしたものは_______村の衛兵である父が血に濡れた母を抱き抱え海賊に銃を突きつけられているところでした。

バン、という銃声がしたかと思うと目の前でスローモーションのように倒れていく父。


女の子は目の前で何が起きているのか理解することができませんでした。






それからのことはあまり覚えていません。気がついたときにはベッドの上で、目の前には知らない男が立っていました。男は大きな口を開けてニッ、と笑いました。


『お前さん名前は!!?』

『……………リリアン』

『そうかリリアン!!今日からわしがおまえのじーちゃんじゃ!!』


そう言って女の子の頭をガシガシと乱暴に撫でる見ず知らずの男の手に、女の子は何故か安心感を覚えたのでした。



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