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「お〜、おかえりリリアンちゃん………と、スモーカーも」
あれからわたしとスモーカーさんは牢屋に入れられ人質にされていた島民を解放し、近くの島に待たせていた軍艦を呼びつけたのだけれど。
「……何でクザンさんが」
やって来た軍艦には何故かクザンさんが乗っていた。甲板でサマーベッドの様なものに寝っ転がってヒラヒラと手を振っている。気を失ったままの海賊たちを引きずってきたスモーカーさんも軍艦に乗り込むなり驚いて…………あれ、驚いてない。連れてきた海賊を他の海兵に押し付け、牢にぶち込んどけ、と言い深いため息をついていた。
「おい、おれ以外に海兵をよこしてるなんざ聞いてねェぞ」
「言ってないからねぇ」
ピキ、とスモーカーさんのこめかみに青筋が浮かんだのが見えた。
「こいつも、おれがいるこたァ聞いてなかったみてェだが。どういうことだ」
ガシッと、頭を鷲掴みにされた感覚。見上げると勿論スモーカーさんが文字通り頭を鷲掴みしていた。なんで。痛い。しかし、スモーカーさんのいう通りだ。この任務はわたし一人がじいちゃん、ガープ中将に課せられた任務だった筈だ。
「はい、聞いてませんでした」
頭を鷲掴みにされたままわたしははい、と勢いよく手を挙げた。
「ガープ中将からはわたし1人だけだと聞いていたし、出発の前にクザンさんにもそう言った筈で……クザンさんは何かあったら助けに行くって言ってくれて……」
頭上から、大将が何言ってんだ保護者か、と呆れたように言う声が聞こえた。ごもっともですスモーカーさん。大将ともあろう方が一海兵の為にそこまで言ったら駄目だと思う。でもクザンさんならやり兼ねないと思うのがこの人の人柄だと思う。
うん?
「……もしかしてクザンさんがスモーカーさんをこの島に?」
まさかそんなはずは無いと思いながらも恐る恐る聞いてみると、クザンさんはダルそうに体を起こしてわたしを見た。
そしていやァ、と顔を掻きながら言ったのだ。
「おじさんリリアンちゃんのことが心配で夜も眠れ無かったのよね。だからこの辺をうろついてたスモーカーをこの島に行かせたってわけ。あ、スモーカーはおれの部下ね」
「うろついてねェ任務だ」
とんだ過保護だった。保護者か、マジで。
「あの、そのことガープ中将は知ってるんですよね?」
「あァ、流石に言ってあるから大丈夫。それに、リリアンちゃん今日からおれの部下だから」
もうわたしは驚きで開いた口が塞がらなかった。
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