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さて、どうしたものか。
海賊のアジトらしき洞窟に連れてこられたわたしと葉巻の男、今は葉巻取り上げられているため葉巻の男では無いだがそんなことはどうでもいい。
わたしたち2人は胴体をロープでグルグル巻きにされ身動きが取れない状態にさせられていた。わたしに至ってはここに来るまでもずっとナイフ突きつけられたままだ。流石にじんわりと血が滲んでいた。
そして、目の前には手配書の写真と同じ顔の男がいる。
「ヘッヘッヘ……よく来たなあ旅人さん達よ」
想像していたよりも大きく、そして汚い海賊はへへへと下品な笑い声を上げながらわたしのすぐ目の前まで歩み寄ってきた。一つ付け足す。想像してたより臭い。
「ああ、姉ちゃんには用はねえんだが悪いな、ちっと大人しくしといてくれや」
そう言って海賊は男の方に足を向けた。男はギロリと海賊を睨みつける。
「早速本題なんだがよ兄ちゃん……最近妙な噂があってなあ、何でも海軍がオレ達がこの島を支配してるっつう情報を掴んだらしい。せっかく島民を人質にとって悠々と暮らしてたっつうのに厄介な話だぜ」
ガハハハと大口を開けて笑うジ海賊はベラベラと要らない情報を吐いている。こちらにとっては好都合だが、いかんせん不愉快だ。吐き気がする。油断するとため息が漏れそう。
「で、だ。兄ちゃん………………………………てめェ海兵だろ?」
そんな事を考えているうちに海賊は男のジャケットの襟をグイ、と引っ張り顔を見下ろしていた。顔には不気味な笑みが張り付いている。
「困るんだよなあ、海兵にうろついてもらっちゃ」
「おれが海兵だと?」
「ちげえのか?」
なおも襟を引っ張りながら男を威圧している海賊はは不敵に笑みを浮かべている。動けないと思って余裕こいてるんだろうが、わたしも身をもって体感した通りこの男にそれは全くもって無意味なのだ。
くつくつと肩を震わせ笑ったかと思うと、キ、と海賊を睨みつけた男。次の瞬間
「ホワイト・アウト!」
声とともに視界が白く覆われた。海賊たちは何が何だとわからない様子で慌てふためいている。わたしを拘束していた海賊もその様で、首筋からナイフが離されるのを感じた。チャンス。
腕を少しずらして体を縛りつけていたロープを解き間髪入れず海賊の鳩尾に拳を突き立てた。
「グッ、フ!!」
呻き声を上げて膝から崩れ落ちる男。その様子はほかの海賊からは見えていないだろう。
「何だ!?」
「おい、どうした!?クソ煙で見えねえ!」
「この煙何だってんっうわァ!!」
呻き声だけを聞いた海賊たちがさらに混乱したのが分かった。そんな混乱している海賊たちが煙に絡め取られるように一箇所に集められていく。その中心にいたのは勿論、
「あァ、ようやく人質ごっこを辞めたのかお嬢ちゃん」
煙の男だった。男は海賊たちを煙で拘束しながら、ジョゴラの首を掴んでいた。完全に形勢逆転だ。
「お兄さんこそ、わたしのことなんかほっといて最初からそうしてれば良かったのに」
「そうはいかねェよ」
男はハッ、と鼻で笑うと目の前の海賊、ジョゴラを睨みつけた。海賊たちはみな煙に拘束され気を失っている。
しかし、己も身動きが取れず完全に劣勢だというのにジョゴラの顔からは笑みが消えていなかった。むしろクツクツと肩を震わせて笑っている。
「悪魔の実の能力者………………」
やばい、とわたしのカンがそう告げる。考えるよりも先に足が動いていた。
男に向かう為地面を蹴った、とほぼ同時。
ガチャン、という金属がぶつかる音が鳴り響いた。立ち込めた煙が途端に引いていき海賊たちの拘束も解けていく。勿論、ジョゴラの拘束も解かれる。何故一海賊ごときがそれを持っているのかは全くもって検討もつかないが、そんなことはもはやどうでも良かった。
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