昼休みになり、私は図書室へと足を運ぶ。
借りた本を返しに行くのが目的だけれど、図書室にいる慎吾さんに会いに行くのも目的の一つだったり。

図書室のドアを開けて、すぐ傍にあるカウンターへ向かう。
本を返したあと、適当にぶらつきながら読みたい本を探す。
本を手に取り、慎吾さんが座っているであろう図書室の一番隅の席へと歩いていった。


「慎吾さん、」

「名前か。また来たんだな」

「はい、慎吾さんがいるかな、って思って。」


冗談混じりに微笑みながら言う。
本当は本気だったりするんだけれど。
慎吾さんはさほど気にせずにそっか、と呟くようにして読んでいた本に目線を戻した。
私もいつもの定位置である慎吾さんと相向かいの席に座って本を読みはじめた。

最初、慎吾さんを見つけたのは偶然だった。
一年の終り頃、たまたま図書室に行ったら慎吾さんを見つけて。
だけど、誰か女の人と一緒にいて話し掛けられなかった。
次に行ったときは慎吾さんは一人でいたので声をかけると、慎吾さんは驚愕した顔をして。
それから、たまに図書室へ足を運ぶようになった。

ふぅ、と一息つくと予鈴のチャイムが鳴る5分前だったので読んでいた本を借りるため、席を立った。


「じゃあまた部活でな。」

「あ、はいっ」


慎吾さんに声をかけられ、返事をする。
そのまま慎吾さんとわかれ、カウンターに向かった。



鼻歌を歌いながら教室に戻ると、準太は自分の席で寝ていた。
昼食後すぐ寝てしまって、それから私はすぐ教室を出た。
なのに私が戻ってきてもまだ寝てるなんてよく寝てるなぁ、なんて思う。
まぁ、練習で疲れてるんだもん、仕方ないよね。
お疲れ準太、そう心の中で呟いて準太の隣の自分の席に着いた。


「んー…」

「あ、準太。ごめん、起こしちゃった?」

「いや…、もう授業始まるし起こしてもらってよかった」

「だよね。さすが私」

「何言ってんだよ、ばーか」


準太は笑いながら私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
そんなに撫でたらボサボサになるって!


「ああっ、もーボサボサだよ!」

「ははっ、寝起きのときみてー」

「笑い事じゃないってばー」


髪を手櫛で梳かしながら、準太と笑いあう。
こんな時間が続けばいいな、なんて。
心の中で呟くように思った。





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