いつも遠くから見つめるあなたの姿。


その姿に、私は恋をした



いつか、"好きです"って伝えられたらいいな…







4時限目の終わりのチャイムがなり、終わりのあいさつをして席を立つみんな。
私もみんなと同じように、お弁当を持って席を立ち友達のところまでいこうとした。
そんなとき、途中で声をかけられる。


「名前!」
「え?あ、利央。どうしたの?」


声をかけてきたのは幼なじみの利央で。
めずらしいな、なんて思いながら利央を見る。


「今日さぁ、一緒に昼飯食べない?野球部の先輩達も一緒なんだけど…」
「いいよ?どこで食べるの?」
「屋上!じゃあちょっと待ってて!」


そう言って利央は自分の席へ戻っていき、自分の昼食を持って私の元にきた。
いこう、という利央と一緒に屋上へ歩いていく。
そういえば野球部の先輩も一緒っていってたけど、高瀬先輩、いるかな…。
うわー、いたらどうしよう!なんて考えながら歩いていたら、利央に不思議な顔で見られていた。






屋上に着くと、何人か人がいた。
もしかしなくても、野球部の先輩達…?
そう思っていたら、隣にいた利央が手を振りながら叫んでいた。


「準さーん!名前つれてきたよー!!」
「え、利央…っ?」


ビックリして利央を見る。
だけど利央は、笑顔で私の腕を引いて先輩達の方へ歩いていった。


「あ、あの…」
「利央、この子が名前ちゃんか?」
「へぇ、利央の幼なじみっていうからどんな子かと思えばすっごいかわいい子じゃん」
「うん!幼なじみの名前!ちゃんと準さんのために連れてきてあげたんすよー」
「なっ、利央っ!!」


先輩達の視線が私に集まる。
先輩達は3人いて、その中に高瀬先輩がいて私の心臓はドキドキいっていた。
隣にいる利央は、ほら、名前も座って!と私を座らせる。
隣には高瀬先輩がいて、余計に緊張してしまう。


「ははっ、そーんな緊張しなくても大丈夫だよ、名前ちゃん。」
「慎吾さん、それ余計に緊張させてませんか?」


高瀬先輩が隣にいる慎吾?先輩に言うと、慎吾先輩は笑いながらごめんね、と言った。
私は安心させようとした先輩の優しさに、いえ、大丈夫です、と笑顔で答えた。
もう一人の先輩は慎吾先輩と同じ3年生の和己先輩で、優しそうな先輩だった。

みんな食べるものを広げたので、私もお弁当を広げる。
そしたら慎吾先輩と利央にうまそう!といわれて、うれしくなる。


「もしかしてこれ、名前ちゃんの手作り?」
「あ、はい」
「そういえば名前、料理上手いんだよねぇ〜」
「そ、そんなことないって!」


慎吾先輩の言葉に、恥ずかしながらも答える。
ふと、高瀬先輩の方をみると、高瀬先輩と目があって、少しドキッとした。


「?どうした?」
「あ、い、いえ!な、なんでもないです…っ!」


なぜか力みすぎてどもってしまった。
そしたら高瀬先輩は急に笑い出して。
ビックリしていると、スイッチ入っちゃったな、と和己先輩がいった。


「あ、あの…?た、かせ先輩…?」
「くくっ…、ごめ…、っくく…」
「準さんこうなると笑い止らなくなるんだよねぇー」


利央が隣でそんなことを言っているのが耳に入ったけれど、高瀬先輩に何か笑われるようなことでも言ってしまったのか、と恥ずかしくなって俯いてしまった。


「くくっ…、…はぁ、あ、ごめんな」
「え…?」
「いや、つい…、どもってたのが面白くて…」


そういってまた笑い出す高瀬先輩。
ビックリしながらも、こんな風に笑うんだな、なんて思ったら少しうれしくなった。
でも、なんで高瀬先輩の前で失敗しちゃうんだろう。
恥ずかしすぎる。
だけど、利央の言葉で気分が沈んでいたのもすぐに晴れることになる。


「よかったねぇ、準さん!」
「え?」
「ずっと名前と話したいっていってたもんねぇー!」


利央の言葉に、一気に顔、そして体中が熱くなる。
隣の高瀬先輩は驚いていて、だけど顔が少し赤くなっていた。


「なっ、バカ!利央!!」
「えー、だってほんとのこと…イタッ!!酷いよ準さん!!!」


目の前で騒いでいる高瀬先輩と利央を見て、自然と笑みが零れる。

だけど高瀬先輩、それって期待しても、いいですか…?







いつも遠くから見つめるあなたの姿。


その姿に、私は恋をした



いつか、"好きです"って伝えられる日も、



そう遠くはないのかな…?




くない距離

(あなたの存在が、近くなった気がした)
(なんて、大げさすぎるかな?)




10.03.21 再録
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