あたしの彼氏は野球部。
だから、練習は土日でもあるから会える時間なんて少なくて。
会えるのはせいぜい、学校だけ。

しかたないのはわかってる。
だけど、時々不安になるの。
これで付き合ってるっていえるのかな、って。
もしかして、私だけが彼のことを好きなんじゃないかな、って。

駄目だ、私、最悪の女だ。
重い、よね。
会いたい、っていいたいけど、絶対重いんだよ、なんて思われちゃう。
そんなの、嫌だな。

だけど、今すぐ会いたくて堪らないの。
ねぇ、準太。
あなたはいま、何をしているの?



突然、ベッドの上に置いてあった携帯が鳴る。
この曲はメールだ、誰からだろう、なんて思いながら携帯を手にとる。
メールを開くとそこには、「高瀬準太」の文字。

え、準太からメール…?
めずらしい、なんて思いながらもメールを読んでみる。


From:高瀬準太
Sub:No title
最近ほっといてばかりでごめん。
今度の日曜あいてたら会わねぇ?


たった、たったそれだけだけど、うれしくて。
ああ、私ってこんなに準太が好きだったんだ、なんて今更思う。
返信をしようとしたら、また携帯が鳴って。
この曲は電話で、しかも高瀬準太の文字。
びっくりしながらも電話にでると、久しぶりに聞く、準太の声。


「準太…?」
『名前?メール、みた?』
「う、ん…。みたよ…。」


なんだか不思議な感覚だった。
久しぶりの電話で、それにさっき見たメールでうれしさがいっぱいで。
涙が出てきそうになった。


『ほんとに、ごめんな』
「…ううん、しょうがないよ、準太は部活なんだし。」
『…ごめん』
「謝らないで。うれしかった、から…」


もう、限界だ。
涙が止まらない。


『…名前?え、泣いてる…?』
「じゅん…っ、ごめ、うれし、くて…。」
『……ほんとにごめん。』
「準太…、」


優しい声で言う準太。
そんな準太に、すごく愛しさを感じる。
気付いたら、涙は止まっていた。


『…なぁ、日曜日、さ、大丈夫?』
「…うん、大丈夫だよ」
『じゃあ9時に駅でいい?』
「うん、いいよ。」


よかった、そう言った準太に、私もうれしくて笑みが零れる。

ねぇ、準太。
私、我侭で、重いけど、まだ、好きでいていいんだよね?
準太の彼女でいていいんだよね?


『じゃあ、また明日、な』
「…うん」


まだ、話していたいけれど。
準太は部活で疲れてるから、早めに寝させてあげなきゃ。
すぐ傍にはいられないけれど、ずっと準太のこと、思ってるから。
だから、準太も、私のことを思ってくれてたらいいな。




電話越しの愛しい声

(また明日、電話していいかな?)
(なんて、ね。)



10.03.21 再録
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