休日の昼間。
外は暑くて、もう夏だなぁ、なんて想いながら家へと帰る道を歩いていた。
「あれ?名字ー?」
「え?あ、たっ、田島くん!?」
「やっぱり名字だっ!なにしてんのー?」
突然後ろから聞こえてきた声に振り向くと、クラスメートの田島くんがいた。
いつもの笑顔で笑いかけてくるから、心臓がドキドキ言っている。
まぁ、好きだから、なんだけど。
「え、あ、えっと、家に帰るところなんだ。買い物いってたの。」
「へー、名字ん家ってこっちだったんだー。」
「う、うん。あ、田島くんは?今日部活…」
「部活?休みー。暇してたんだー。」
「へぇ、そうなんだー。」
それからいろいろとたわいもない話をする。
話していると楽しくて、やっぱり田島くんが好きなんだ、って改めて思う。
こう、無邪気な笑顔とか、ときどき、部活の野球してるときの真剣な顔とか、好きだなーって。
この夏の熱さも、忘れるくらい。
「なぁなぁ、この前の試合、観に来てただろ?」
「えっ…、こ、この前って…」
「桐青との試合!」
「あ、え、っと、うん…。(うわ、なんで知ってるの!?)」
この間の試合、田島くんを応援するためにいった。
けど、田島くんにばれていたなんて。
まぁ、田島くんを、ってことはばれてないだろうけど。
「ありがとなー!」
「う、うん。すごかったね!かっこよかったよ、田島くん。」
「サンキュー!あ、次の試合も観に来てくんねー?」
「えっ?い、いいよ…!」
「よっしゃー!がんばれる気がする!ゲンミツに!!」
「そ、そっか!」
「名字が応援してくれたら絶対ホームラン打てそう!!」
「え、あの、」
それって、なんか、え、でも。
期待しちゃうよ、そんなこと言われたら。
「あの、絶対いくねっ!応援っ…!」
「おう!!」
そういってまた、田島くんはニカッと笑った。
彼の笑顔はまぶしすぎ
(ドキドキしすぎて、心臓がとまりそうだよ)
10.03.21 再録