「…やっぱいいよぉ、千代ー…」
「何いってるのー、ここまで来て引き下がれないでしょ、名前」


現在、私と千代は9組の教室前にいる。
実は私の好きな人が泉くんで、メアドが知りたい、と千代に話をしたら一緒に言ってあげるから聞いてみればいいんじゃない?という話になって。
そして、このような状況になっている。


「うぅ…、でもさぁ…、やっぱ直接泉くんに聞くなんて…っ」
「名前っ、聞きたいんでしょ?」
「…う、ん…。」


じゃあがんばろうよ、と千代は笑顔で言った。

ここまで来たんだもの、がんばらないと、だよね…。
千代にせっかく手伝ってもらってるんだし…。


「泉くん呼ぶよ?」
「う、うん、がんばる…っ」


千代が呼んだら、泉くんが来るんだ。
しっかり、ちゃんと言わなきゃ…っ!!

そう意気込んでいたら、教室の中から「しのーかだー!」という声が聞こえた。
私はびっくりして思わず窓の下に隠れてしまった。


「名前…。」
「何してんのー?」
「あ、えっとね、…泉くんちょっといいかな?」
「っ!!」


千代は田島くん(…だよね?)の質問に私の方を見てから泉くんを呼んだ。
私はどうしようかと考えるも、泉くんの「俺?」という声に緊張してしまって何も考えられなくなってしまった。
とりあえず立たなきゃ、と思い立ち上がると、泉くんがこちらへ向かってくるのが見えた。


「名前、がんばって」


千代に背中をぽん、と叩かれ、緊張が少し解ける。
だけど、やっぱり泉くんを見ると緊張で目的を忘れそうになった。


「何?」
「あのね、この子が話があるんだって」
「ふーん?」
「あ、あの…っ、」


言え、言うんだ、


「い、泉くん…っ!」
「ん?」
「その、えと…」


あと、少し。

言え…っ!!


「メアド、教えてくれない…っ?」
「ああ、いいよ」


言えた…!
泉くんからの了承の返事にもほっとして、千代の方を見る。
千代は笑顔でよかったね、と口パクで言った。
それに私も笑顔で頷いた。

無事泉くんとメアドが交換できて、メールするね、と言ったら待ってる、と返事が返ってきて。
私は幸せな気持ちで千代と自分の教室に戻った。




君との繋がり

(千代、手伝ってくれてありがとう)



連載として書いたけど結局続かないと判断してこちらに移動しました。
実は9巻で千代ちゃんが9組の窓のところにいたのをみてこれが浮かんできました(笑)

10.03.20
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