夏休みのある日。
暇だから服でも見ながらウィンドーショッピングでもしてこようかな、なんて思いながら家をでると、ちょうど学校から帰ってきたであろう幼なじみとであった。


「やっほー、隆也。」
「おう。どっかいくのか?」
「うん。ちょっと暇つぶし。」
「ふーん…。」


それほど興味なさそうに言う隆也。
あ、そうだ、とひらめいたことを隆也に言おうとしたら、なんだか嫌な顔をされた。


「ね、隆也ー…、ってなんで嫌そうな顔するの。」
「なんか嫌な予感がしたから。」
「うわ、ひどい。せっかくこの幼なじみが一緒にでかけない?って声をかけてあげようと思ったのに…。」
「誰が行くかよ。」


ワザとらしく拗ねてみるけれど、幼なじみである彼にはバレバレで。
即答で断られて、そのまま自転車を置きにいこうとしていたから引き止めた。


「ちょ、隆也のバカ!アイス奢ってやんないんだから!!」
「……」
「…いく?」


止まって俯いたままの隆也ににやり、と笑みを浮かべながら言ってみる。
バイトができない野球部員さんにはおごりはありがたいもんねーなんて思いながら彼の答えを待つ。


「…しょーがねぇな」
「やりっ!じゃ、隆也前ね。私後ろ乗らせてもらうから。」
「は?おまえ、人に乗せてもらう気かよ。」
「何か文句でも?」
「…はぁ…。ほら、いくぞ。」


溜め息をついた後、自転車に乗った隆也。
私は笑顔で隆也の後ろに乗った。

なんだかんだいって、隆也は優しいんだよね。
それは私だけの特権だ、と思ってもいい?
いつか、幼なじみ以上の存在になれることを願いながら、いつもの調子で君と過ごす。


だから、君が好きだよって伝えられるまでは、どうかこのままただの幼なじみのままでいさせてね。




めた

(臆病な私だから)
(この関係が壊れないように)
(いつもの調子で話し掛けるんだ)



10.03.21再録

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